ジャーナリストの大谷昭宏氏はこう話す。
「共産党以外の政党は候補者を立てることを見送る方針を示している。そんな選挙で勝ったからといって、信任を得られたと言われても困ってしまう。本来なら、名古屋の河村たかし市長のように、自分が辞職したうえで市議会のリコールを市民に呼びかけるべきです。そうすれば、そのステップをいっぺんに2つクリアできる可能性だってある。今回の選挙は、橋下さんらしくないやり方ですね」
確かに、橋下氏にしては回りくどい手法である。しかし、そこには橋下氏の政治的なもくろみも見え隠れしているのだ。
前出・大谷氏が続ける。
「市議会をリコールして、市議選をしても維新の会の支持率を見れば、現在の党勢を維持できないことは目に見えている。来年の統一地方選を待っていては、ますます維新の会は議席を減らしてしまう可能性が高い。それで、橋下さんも都構想を急がなくてはならなくなっている。そんな政治的な計算が働いての出直し選挙なわけで、橋下さんの主張は詭弁でしかない」
ツイッターで連続つぶやきを再開した橋下氏は、再び批判的なメディアに対して、「わかっていない」とばかりに反論を繰り返している。
以前ほど、ジャーナリストやコメンテーターを名指し口撃することは減っているが、かつて大谷氏は最大の標的とばかりに、たびたび橋下氏のツイッターに登場、批判されていた。
「自分が名指しされないことが寂しい? そんなわけないでしょう。寂しいなんて言ったら、橋下さんが調子に乗るだけです。基本的に『かまってちゃん』なのですから。もっとも、市民も橋下さんや維新の会への関心は低くなっている。都構想は府市行政府の統合であって、期待している景気回復につながらないことに気づき始めたということでしょう。市民を無視して、独断専行を続ける首長は、長野県知事時代の田中康夫氏しかり、阿久根市長だった竹原信一氏しかり、のたれ死にするのが関の山ですよ」(前出・大谷氏)
自身の存在意義をかけた選挙だと橋下氏は言うが、まさに政治生命の最期ともなりうる。近い将来、今回の出直し選挙が「ご臨終選挙」と呼ばれる日が来るかもしれないのだ。