好プレーのたびに満面の笑みで腕を突き上げてきた虎の指揮官の様子がおかしい。腹心エースの離脱に新クローザー候補の乱調が重なり、チームは屈辱の開幕9連敗から12球団最速の10敗目に到達。もはや、上辺だけの精神論ではカバーできないほどメンタルはギブアップ寸前のようで‥‥。
「試合中のみならず、ミーティング中もウツロな目をして遠くをぼんやり見つめています。聞こえてくるのは、選手に大声でゲキを飛ばす井上一樹ヘッドコーチ(50)の声ばかりなんです」
こう語る球団関係者が不安げに見つめるのは、阪神・矢野燿大監督(53)の挙動だ。開幕からセ・リーグワーストの連敗記録を更新する、ドロ沼借金地獄にドップリとハマッている。スポーツ紙デスクが語る。
「昨年のヤクルトとのサイン盗み騒動で『アホ、ボケ!』と汚い言葉で激昂したかと思いきや、その1週間後のDeNA戦のサヨナラ勝ちで号泣するなど、元来は感情表現が豊かな人でした。それが最近、連敗で精神を病んでしまったのか、死相が漂うレベルで表情が沈んでいる。球場で挨拶を交わしても、目線があさっての方向を向くことがしばしばですよ」
完全に精魂尽き果ててしまったのか。実のところ昨オフの時点で、すでに意気阻喪の気配が見え隠れしていたという。
「続投要請を受けながら、親しい関係者には『ホントはもう辞めたいんよ』と漏らしていました。チクチク横やりを入れてくるOBや気性の荒いファンもさることながら、阪神特有の優勝よりも“優勝争い”を目指す特異体質に辟易していたようです。実際にフロントが評価するのは、1年通して首位争いは演じても、決して優勝はせず、甲子園を満員にできる監督ばかりなんです。ヘタに優勝してしまえば、選手の年俸を上げる必要が出てきますからね」(球団関係者)
まさに、首位を独走しながら、中盤で大失速して首位を逃した昨季こそが満点評価なのだ。それでも、黙っていられないのが株主様の存在である。このまま負けが込めば、6月に開催される阪急阪神ホールディングスの株主総会で総叩きに合うのは必定。
「本社サイドは、矢野監督の途中解任は考えていないようです。ヘタに動いて傷口を広げるよりは、“動かざること山のごとし”で心中する方針。そもそも、井上ヘッドにしても平田勝男2軍監督(62)にしても、分不相応感は否めない。矢野監督本人からの休養要請があれば話は別ですが、ハナから今季限りでの退任を宣言したわけですから、さらに、途中で投げ出すようなみっともないマネができるでしょうか」(阪急関係者)
針のむしろから解放されるには、自ら白旗を上げる以外に方法はないが‥‥。