阪神が新スローガン、「ぶち破れや!オレがヤル」を発表した。「ファンを喜ばせたい」と前向きな矢野燿大監督の言葉に最下位に沈んだ重苦しい雰囲気も払拭されたようだが、実際はそうではなかった。
「二軍を日本一に導いた采配が一軍でも通用するのか、疑問です。矢野監督もそのへんはわかっているらしく、選手との接し方も変えてきました」(在阪記者)
二軍指揮官だったころは、自身から選手に近づき、アドバイスも送っていた。しかし、阪神ナインも「矢野監督が変わった」と思い始めたという。それは、就任直後の秋季キャンプにあった。矢野監督も結果の求められる一軍と、育成の二軍は違うと考えていたのだろう。常に一歩引いたところから練習を見ていた。冷静に戦力を分析するためだったが、代わって練習を指揮していたのは、矢野監督の中日時代の弟分、清水雅治コーチ。新参とは思えないほど、虎ナインを叱り飛ばしていたのだ。
「基本練習には特に厳しく注意していました。その態度に『マジメな人』と捉えた選手もいれば、『大げさな…』と批判的な声も聞かれました」(前出・在阪記者)
その清水コーチが参謀役となる。強いチームにはこうした憎まれ役のコーチもいるものだが、一軍コーチ、二軍指揮官だったころの矢野監督は直接、選手に語りかけることで信頼関係を築き上げてきた。矢野監督はファンとの距離感を縮めたいとも語っていたが、選手との適度な距離の取り方に悩まされそうだ。
(スポーツライター・飯山満)