産経新聞ソウル支局長特別記者の黒田勝弘氏が明かす。
「キム・ヨナには国際スポーツ界の役員になりたいという野心があるそうです。韓国で彼女は五輪の象徴ですから、次の平昌五輪にも何らかの形で関わると聞きます」
韓国には、日本オリンピック委員会(JOC)に当たる大韓オリンピック委員会(KOC)がある。KOCは大韓体育会の内部に組織されているので、キム・ヨナはまず大韓体育会に入ると思われるが、在韓スポーツ記者はこう明かすのだ。
「キム・ヨナが目指しているのは、そこではありません。国際オリンピック委員会(IOC)の委員になることを狙っているのです。韓国にはIOC委員の枠が2つあります。1つは経済界の枠、もう1つは元スポーツ選手の枠です」
現在、スポーツ選手枠として韓国のIOC委員に就いているのは、文大成〈ムン・デソン〉国会議員(37)である。文氏は04年アテネ五輪に参加したテコンドーの金メダリストで、12年の総選挙で韓国セリヌ党から出馬し、国会議員にもなっている。しかも、IOC委員は終身保証されており、まだ年齢も若い文氏から引退したてのキム・ヨナが委員会の枠を奪うことは簡単ではなさそうだが、在韓スポーツ記者が続ける。
「国会議員になる前、文氏は東亜大学のスポーツ学部の教授をしていました。ところが、当選後、博士論文が盗用だったことが暴露されたのです。そのせいで、彼はセリヌ党を追い出され、教授職も辞任しました。現在でもIOC委員ではありますが、相次ぐスキャンダルで、文氏が辞任を申し出るのは秒読みだと言われています」
そこで、キム・ヨナにIOC入りのチャンスが生まれそうだというわけだ。
「平昌五輪の招致活動で世界中を飛び回り、各国の要人と会合を繰り返したことで、キム・ヨナに強い立場で五輪に携わりたいという思いが芽生えたようです。韓国国民もそれを望んでいて、政財界もキム・ヨナの委員入りの調整をしている。本人もすごく乗り気で『ぜひやりたい』と言っているそうです」(在韓スポーツ記者)
キム・ヨナの次のステージとしてはIOCは似つかわしい気もするが、実現したとしてもかの国の国民性を考えると、素直に祝福を贈りづらい面もある。
「アジアにおけるフィギュアの先駆者は日本です。それまで欧米人しかメダルを獲れなかったこの競技で、伊藤みどり(44)がメダルを獲り、荒川、浅田とメダリストを輩出してきたからです。当然、韓国人にもこの意識はあって、キム・ヨナが女神のように扱われるのも、その日本からフィギュアのメダルを奪い取ったことが大きいのです」(運動部記者)
そして、韓国はメダルのみならず、フィギュア界そのものを奪い取ろうと画策しているのだ。