2年目となった第3期原ジャイアンツの強さはまさに本物。しかし、リーグ優勝した昨季にも共通することだが、今の巨人は戦力的に決して恵まれたチームではない。
今季の規定打席到達者は坂本勇人(31)、丸佳浩(31)、岡本和真(24)の3人だけで、これはリーグ最少人数。ローテに目をやっても、開幕12連勝の菅野智之(30)を除けば、高卒2年目の戸郷翔征(20)が8勝と役割を果たしているのみだ。
となれば、首位を独走する現在の巨人の強さを語る際に、原辰徳監督(62)の采配手腕については避けて通れないテーマだろう。12年から3年間、原巨人で1軍戦略コーチと打撃コーチを歴任した橋上秀樹氏に話を聞いた。
「指導者として原監督が優れているところはいくつもあると思いますが、特筆すべきは勝負どころを見極め、策を素早く繰り出す決断力です。例えばチームの4番に対しても、チャンスと見れば送りバントの指示を出すことをためらいません。私は楽天時代に野村克也監督の下でヘッドコーチも務めましたが、あの野村監督ですらそうした原監督の采配を見て、『原はすごい。俺はあんなことようせんわ』とボヤくほどでした」
そして、そんな原監督からの明確な「後継者指名」を受けたのが、指導者としての野球人生を歩み始めたばかりの阿部慎之助2軍監督(41)だった。
事の発端は9月16日のこと。元木大介1軍ヘッドコーチ(48)が急きょ、虫垂炎で入院、手術を行うことになったのだが、その報告を受けた原監督が、即座に阿部2軍監督を「ヘッドコーチ代行」として東京ドームに呼び寄せ、その日から1軍のゲーム指揮にかかわらせたのだ。
アサヒ芸能10月15日号(10月6日発売)では、そんな阿部2軍監督が原監督から学ぶ「ジャイアンツの帝王学」をレポート。橋上氏による詳細な人物分析もお届けする。