「週刊文春」が報じた細田博之衆院議長の性ハラ疑惑が、安倍晋三元総理にボディーブローのように効いている。
報じられたのは細田議長の女性記者への不適切な対応疑惑で、自民党内には「参院選への影響が心配だ」(幹部)との声が出ている。一方では、意外にも岸田文雄総理は冷静だという。
それは細田議長が、議長という立場ながら、現在、政府が検討している衆院区割り10増10減案に公然と反対し「(議員は)1人当たり月額100万円未満であるような手取りだ。多少増やしても罰は当たらない」と力説したことに起因する。
永田町関係者は、
「細田議長のイメージが悪化すればするだけ安倍氏の影響力が落ち、岸田総理は世論の後押しを味方に10増10減案を実行するのでは」
と総理の立場を解説する。
衆院区割り10増10減案は山口県に適用されるのは確実で、安倍氏の4区と岸田派出身の林芳正外相の3区が合併する可能性が高い。安倍氏と林外相ともに地盤は強く、一度でも比例に回れば、県下の勢力図は変わる。政界への影響力を維持したい安倍氏は、意地でも選挙区候補にこだわるつもりだ。
そんな中、安倍氏の総理在任中は清和会を預かって細田派を名乗り、議長に就任したのも安倍氏の威光があってとされる細田議長は、安倍支援を考えてか10増10減案に反対したが、それが裏目に出た形だ。
また、福田達夫総務会長の存在もある。55歳、清和会の創始者である故・福田赳夫元総理の孫で、将来の総理候補だ。
総理官邸関係者が言う。
「福田総務会長は細田議長のふるまいを良く思っていない。原則を重んじる人だけに、岸田総理が10増10減案に関して、安倍氏に少しでも気配りすれば黙っていないだろう」
清和会は安倍派と言われるが、福田系列の方が集金力はある。派内から不満が出るようであれば、安倍氏も立場がないのだ。
細田議長の性ハラ疑惑、うまく対処すれば、岸田総理が党内バランスを自分に有利にする好機となるかもしれない。
(健田ミナミ)