18歳の女子学生に飲酒を勧めた後、ホテルで過ごしたと「週刊ポスト」で報じられ、自民党を離党した吉川赳衆院議員=比例東海ブロック=について、自民党の世耕弘成参院幹事長は6月14日の記者会見で厳しい言葉を連発。報道内容を明確に説明できないのであれば「議員辞職をするのが当然だ」としたことに、岸田文雄総理周辺からは「言い過ぎだ」の声が漏れている。
吉川氏は岸田総理が会長を務めた岸田派に属する一方で、世耕氏は安倍派所属の安倍晋三元総理側近。安倍派は同派出身の細田博之衆院議長の性ハラ疑惑が「週刊文春」に取り上げられ、集中砲火を浴びている。総理周辺は、
「細田議長にダメージがないようにコトを進めているのに、なぜ喧嘩を売ってきたのか」
と憤るのだ。
吉川氏の処遇について、岸田総理は6月13日の参院予算委員会で「事実なら大変遺憾なことだ」と述べた上で、次のように言及。
「離党したとはいえ、本人は何も説明していない。国会議員として説明責任を果たしていかなければならない」
時期をみて、本人に説明させることを示唆していた。
吉川氏は昨年の衆院選静岡5区で、無所属の細野豪志氏に敗れたが、比例東海ブロックで復活当選した。そのため世耕氏は、
「党の力で復活当選している。党に迷惑をかけての離党であれば、議席は党に返すのが憲政の常道だ」
その理屈はごもっともだが、政治にはタイミングという問題もある。
通常国会は6月15日に閉会する。閉会中に吉川氏が議員辞職するのであれば、細田議長の許可が必要になる。「パパ活」議員が「性ハラ」議長に辞職願を出すというのは、ブラックジョークの世界だ。
ただ岸田総理にとっては、安倍派に「子分」の辞職を促されたという形になれば、その後の政権運営にも影響する。岸田派VS安倍派、自民党は参院選前の「下半身スキャンダル」での泥沼化は避けたいところだが…。
(健田ミナミ)