武豊と人気薄馬のコンビとは、意外な組み合わせに映るが、実は10番人気以下の穴馬を馬券圏内に導く上位騎手の顔ぶれを見ると、腕達者がズラッと並ぶ。
複勝率こそ、目下リーディングトップ(3月13日現在)を快走する川田将雅(28)に譲るも、連対率ならトップだ。まさに馬連にピッタリの騎手と言える。
さらに、最近のレース内容の変貌ぶりから狙い撃ちの好タイミングも見えてくる。高木氏が話す。
「ディープインパクトを筆頭に、サンデーサイレンス産駒の全盛期に競馬を始めたファンにとっては、ためにためて切れ味を引き出すスタイルが強烈に印象づいている方も多いと思います。ですが、武豊騎手の大きな武器は、レースを俯瞰で見られる点。ペースの読み間違いはないし、どの位置にいれば自分の馬が有利か、常に見えている。同時に、絶妙のペース把握能力を生かして、最近は逃げて勝ち星を増やしている印象が強いですね」
実際、昨年の97勝中、27戦が逃げ切り勝ちで、その割合は約28%を占める。ディープと3冠を達成した05年は212勝中42勝で約20%。大ケガで苦労した10年(69勝中14勝)までは、おおむね20%だった。
だが、翌11年の逃げ切り勝ちは64勝中20勝で約31%。12年は56勝中15勝で約28%と明らかに逃げ切りが1割ほど増加傾向にある。専門紙の栗東担当記者もうなずきながらこう話す。
「昔、ユタカさんがテレビ番組内で『スターターごとにゲートを開く時の癖を覚えている』と話していたことを伝え聞いたんやけど、それぐらい気を遣って乗ってるんや。ハナさえ切ってしまえば、そのペースを乱そうという騎手もあんまりおらんしな。全盛期は後ろからプレッシャーをかけてレースを支配してたけども、最近は逃げてペースを支配する競馬が増えてますわな」
今年、10番人気以下の馬で早くも2回連対を果たしている。中山ダート戦こそ追い込みだったが、残り2戦は1月13日の京都5Rと3月1日の阪神5Rで華麗な逃走劇を演じてみせた。
「ユタカさんは『体内時計を持ってる男』と称されるだけに、その逃げは絶妙なペース配分。後ろに控える騎手も最後の直線まで動かんよ。そりゃ、岩田騎手が逃げた時と比べたら大違いやで。左右に馬を振るようなアクションはせんしな。せやから、みんなユタカさんが逃げたら、その後ろのポジションを取りたがる。じっくりと待って最後にかわせばええんやから。京都5Rは、ユタカさんをマークしてた1番人気馬がクビ差かわして馬連5740円。阪神5Rは行った行ったで2、3着してワイドが7610円。こうした馬連やワイド馬券の払い戻し率が6月からアップするゆうんやから、ホンマ、今よりごっつおいしくなりまっせ~(笑)」(記者)
新払い戻し率は6月7日から変更されるが、「人気薄で逃げる武豊」は、今週からマークしておく必要がありそうだ。