ペナントレースがいよいよ開幕する。恒例の大型補強で誰がどう見ても強い巨人のリーグ連覇は確実なのか。いや、その巨大戦力の牙城をブッ潰す最大の脅威が急浮上したのだ。昨年終盤、猛烈な追い込みでAクラスに復帰した広島カープ。その戦力には王者を凌ぐ鉄板根拠がちりばめられていた。
片岡治大(31)、井端弘和(38)、大竹寛(30)、韓国最多勝左腕・セドン(30)‥‥。昨季、2位・阪神に12.5ゲーム差をつける圧倒的な優勝劇を見せつけた王者・巨人はそれでも飽き足らず、ブランド力、資金力をバックに、またしても大型補強を敢行。その対決前から戦意を喪失させそうなおびただしい戦力に、もはや抵抗できるチームなどいないのではないか──。
ところが、3月16日、「Going!Sports&News」(日本テレビ系)にレギュラー出演する野球解説者・江川卓氏(58)は、「今年の優勝は広島カープがするんじゃないかと思っておりまして」と切り出した。思わず「エッ!?」と驚いた視聴者は少なくなかったはずだが、これが冗談ではなさそうなのだ。
「86年、阿南準郎監督就任1年目、カープが優勝した。その時の雰囲気に今年のチームはよく似ています。当時、最速152キロの長冨浩志が10勝2敗で新人王になりましたが、今年のドラ1・大瀬良大地(22)は、剛球タイプの本格派右腕という投球形態、フォームが長冨のようです。昨年10勝の大竹をFAで巨人に取られましたが、先々を考えても大瀬良は大竹より上。ケガで途中離脱さえしなければ、新人王は当確でしょう。15勝する力はありますよ」(スポーツ紙デスク)
なぜこれほど評価が高いのか。デスクが続ける。
「コンパクトに腕を振り、モーションが速い。テイクバックが小さく、フォローが大きい。つまり、出どころが見づらく球離れが遅いので、タイミングが取りづらい」
当たり前の話だが、12球団NO1エース、前田健太(25)はこの新人右腕のさらに上をいく。スポーツライターが太鼓判を押す。
「昨年の田中将大(楽天→ヤンキース)のようになる可能性がある。24勝はともかく、20勝には到達するでしょう。『チームを優勝か日本一にしてからメジャーに行きたい』と話し、今年広島に残ったのはそれを達成するため。昨年までとはモチベーションが格段に違います」
江川氏も「Going!」でマエケンをキーマンに指名し、
「今、取り組んでいるのは、昨年まで投げていなかったスプリット。これを使えるようになればスライダーの割合を減らし、より相手打者を翻弄できる」
と分析したのである。
「マエケンを筆頭とする先発三本柱の野村祐輔(24)とバリントン(33)は、少なくとも昨年より2勝は上積みできる」(前出・デスク)
野村12勝+2勝=14勝、バリントン11勝+2勝=13勝。マエケン20勝、大瀬良15勝と合わせ、三本柱+ルーキーで合計62勝を稼ぐ計算になるのだ。
◆アサヒ芸能3/25発売(4/3号)より