現役時代に苦手としていた投手を問われると、
「これはね、期待を裏切って申し訳ないんですけど、苦手だと思ったピッチャーはいません」
こう答えたのは、阪神の4番として活躍した掛布雅之氏である。自身のYouTubeチャンネル〈掛布雅之の撞球【公式】〉でのことだ(5月28日)。
その理由として語ったのは、
「思った時点で負けるから。仮に年間十何打席立って、1本もヒットを打てなくても、苦手だと思ったことはない…というよりも、思わないようにしていたかもしれません」
それでもプロ入り直後に見た堀内恒夫(巨人)、新浦壽夫(巨人、大洋など)のカーブは驚異だったと振り返る。
「堀内さんと新浦さんのカーブは、視界から消えたんだよね。視界から消えるとどうなるかというと、怖いからアゴを上げるんです。アゴを上げてしまうと(自身のフォームを崩し)もうそこで負けなんです」
目で捉えられるよう、カーブの軌道を頭に描きながら素振りの練習に励んだとも振り返ったのだった。
ミスタータイガースを成した、陰の努力のひとつだったのだ。
(所ひで/ユーチューブライター・所ひで)