福永騎手からオイルマネーの“強奪”をもくろむ武豊騎手にとって、今回は願ってもないメンバー構成なのだ。
「トウケイヘイローは逃げ馬ですが、他に逃げる馬が見当たりません。ジャスタウェイと並んで1番人気のザフューグは差し馬ですし、米国の最優秀芝牝馬に選ばれている英国のダンク(3番人気)にしても、先行&差し脚質。頭数が少ない点も追い風ですし、ドバイの芝は香港と同じ種類。日本よりも少し力がいるという点もいい」(スポーツ紙デスク)
香港でGI2着の実績があるトウケイヘイローにとって、馬場もフィットするというわけだ。専門紙「関西競馬エイト」の増井辰之輔記者もこう話す。
「武豊騎手はスタートさえ決まれば、果敢に逃げるシナリオを描いていると思いますよ。昨年の函館記念のように、後続を離し、絶妙にラップを刻んでいく。平坦コースですし、優勝候補のジャスタウェイと比べても、勝機は五分五分と見ています」
後続馬たちが、なし崩しに脚を使わされた昨年の函館記念。ドバイでも一人旅でゴールするシーンが浮かんでくるようだ。
では、他の日本勢はどうか。「ワールドカップ」にホッコータルマエで挑む幸英明騎手は、勝てば600万ドル、約6000万円を手にすることになる。
海外競馬事情に詳しい競馬ライターの秋山響氏が主なレースのポイントと展望を解説する。
「今年の『ワールドカップ』は好メンバーがそろいました。日本勢のホッコータルマエとベルシャザールにとって、最大の強敵は昨年の英ダービー馬、ルーラーオブザワールド(1番人気)でしょう。GIIニエル賞では鋭く追い込んで、あのキズナと首の上げ下げの接戦を演じた馬です。10年にオールウェザー(AW)に変更されてから、ダートで実績のあったトランセンドの2着という例こそあれ、芝馬の活躍が顕著です。その点、ダービー3着のベルシャザールは問題なさそうですが、ダートに実績が集中するホッコータルマエは、AWをこなせるかが大きなポイントかと思います」