苦境に立たされているプロ野球のラジオ中継が、新たな一歩を踏み出す。今夏にも在京ラジオ局の1社が、ナイター中継をYouTubeチャンネルで生配信する予定であることが判明した。
関係者の話を総合すると、検討しているのは「ライオンズナイター」を放送している文化放送で、現在は地上波のAMラジオ、スマートフォンなどで聴ける「radiko」のほか、本拠地のベルーナドームの平日主催試合限定で、インターネット配信も行っている。
「DAZNなどサブスクの映像メディアが台頭し、野球ファンもそちらへ流れている。ラジオの野球中継は押されっぱなしですよ。とはいえ『ながら聴き』できる音声メディアが近年見直されつつあり、販路を広げるのが狙いではないか」(スポーツ紙デスク)
ラジオの野球中継をめぐっては今年、北海道のHBCラジオ、名古屋のCBCラジオがZOZOマリンスタジアムでのロッテ主催試合を現地放送席から制作せず、自局のスタジオで映像を見ながら実況する「オフチューブ方式」を採用。福岡のRKBラジオは、ソフトバンクの地方主催試合を今年から同方式に切り替えるなど、予算削減が目立つ。
在阪ラジオ局幹部は、
「打ち切られる前に手を打っておこうということ」
と理解を示すが、ナイター中継ファンを獲得し、V字回復できるかは微妙な情勢だ。