中日の根尾昂が6月19日の巨人戦で、外野手登録のまま9回二死から登板。主砲・岡本和真を149キロの高め直球で空振り三振に抑え、投手転向初陣を飾った。
3万1590人のファンの盛り上がりが最高潮に達した瞬間だった。交流戦終了のタイミングで立浪和義監督が投手転向を明言した根尾がマウンドに上がると、割れんばかりの拍手が送られた。
4球目には自己最速の151キロをマークした根尾は「日々よくなっているが、まだ初心者ですから」と謙遜したが、同時に「課題だらけ」とも口にした。
この一戦を見守った球界OBは、
「今日はお膳立てされての登板だったね」
と言って、次のように明かすのだ。
「9回二死まで谷元がテンポよく抑え、立浪監督はそこで根尾にスイッチ。結果的に抑えたからよかったけど、冷静に考えれば、公式戦でわざわざ派手にお披露目したようなもの。オープン戦ならいいけど、真剣勝負の舞台でやっては、根尾や監督に対するナインの目は『えこひいきするなよ』と厳しくなる。下手すれば、チーム崩壊の一端にもなりかねないやり方だ」
現時点では、先発か中継ぎかは全く決まっていない。球団関係者は、
「夏場に向けて投手も疲れ始める中で、根尾が抑えられず炎上すれば、今シーズンが終わってしまう。本来なら体作りやスタミナアップに数年を費やさないといけないレベルなんですけど…」
采配を振るう側には今後、より厳しく結果が求められることだろう。