6月5日、自身のYouTubeチャンネルで“破産”を告白したお笑い芸人のじゃい。これまで数千万円単位の高額配当を何度も手にしてきた芸能界最強ギャンブラーに、何が起きたのか。本人を直撃したところ──。
「数々の貴重なご意見、アドバイス、協力します! 応援します! といった声は非常にありがたく、勇気づけられました。基本的には(裁判で)戦ってほしいという声が多いです。久しく連絡を取ってなかった友人、知人などからも連絡があり、様々なアドバイスをしてくれました」
そう話すのは、お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃい(50)だ。
事の発端は20年12月、川崎競馬で後半3レースの馬単を当てる「トリプル馬単」を的中させ、6410万6465円の高額払い戻しを受けたことだった。
「昨秋、自宅に2人の税務署員が訪ねて来ました。僕は税金もちゃんと納めているし、競馬で勝ったお金も申告しているので、やましいところはなく、通帳や過去の資料など全てを差し出しました。その結果、今年の3月にマンションを買えるぐらいの請求が来ました」(前出・じゃい)
問題になったのは“外れ馬券が経費にならない”という現在の税制度。動画の中でじゃいも〈競馬ファンの間では“二重課税”とも言われていますけど、僕にとっては“カツアゲ”レベルです〉と憤りを隠せないでいたが、どういうことなのか。競馬関係者が話す。
「仮に馬連5頭BOX(10通り)の馬券を100万円ずつ購入し、そのうちの1つが当たって10倍の払い戻しを受けたとします。1000万円使って1000万円戻ってきたので収支はチャラ。ですが今の制度は、100万円が10倍の1000万円になったとして、一時所得の900万円が課税対象(年間50万円を超えると課税対象)となり、実際は大幅なマイナスになる。つまり、10通り購入したうちの9通り(900万円分)の外れ馬券は経費として認められないんです。そもそも馬券購入時に約10%の国庫納付金という実質的な税金を支払っているわけですから、宝くじと同じように『払戻金は非課税にしたほうがいい』という声は、競馬界の中でも多いですね」
過去に外れ馬券の購入代金を税制上、経費に算入するよう求めた訴訟はいくつか行われているが、経費として認められたのは15年と17年の2例。いずれもパソコンソフト等を使用して1年間ほぼ全てのレースを購入するなど「営利目的で継続的に購入」した場合だ。
「最近では20年11月に『恒常的に利益を上げていたとまでは認められない』として、愛媛県の男性が敗訴しています。今の制度では、じゃいさんが言うように大口で購入するファンが減るのでは」(前出・競馬関係者)
今回、巨額の追徴課税を請求されたじゃいは、裁判を起こすことを検討したものの、最低6年に及ぶ長期化の可能性がある点や、裁判費用も高額になるため断念。身内から借金をする形で全額を支払ったという。
ただ“生涯利益50億円”のカリスマ個人投資家・テスタ氏が裁判費用を「全額出す」とツイートしたり、「クラウドファンディングで戦いましょう」といった援軍も現れた。だが、
「基本的には裁判はしない予定です。仮に裁判をするとしても、今回の税金を返してほしいという目的ではなく、今後、競馬界のためにこの制度の見直しをしてほしいという目的になります。僕自身、競馬愛は変わらず、今までどおり追いかけていきたいと思っています。以前から税金のことについては競馬ファンから数々の不満を聞いていたというのもありますが、今回の件がきっかけで競馬界がよりいいものになるために、何とかしたいという気持ちは生まれました」(前出・じゃい)
お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品(29)は、先日の「安田記念」を的中させた際、自身のYouTubeチャンネルで「じゃいさんも税金系の動画を上げたりして、今何かと話題なのですが‥‥」とした上で、購入金額100円の馬券を公開。続けて「目に見えるものだけが真実とは限らない。マネーエンターテイメントの世界へようこそ」と、コンフィデンスマンJPの決めゼリフで締めるなど、今回の“破産告白”が各方面に影響を及ぼしていることは確かだ。
果たして、じゃいは競馬界の救世主になれるか。今後の動向が注目される。