NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に「時代考証に問題あり」との声がしきりに上がる一方、午後に再放送されている96年の朝ドラ「ひまわり」は「時代が感じられて懐かしい」と、にわかに注目されている。
「ひまわり」は、バブル崩壊直後の不景気な時代が背景。松嶋菜々子演じるヒロインが婚約を機に、大手食品会社から退職に追いやられて再就職もままならず、仕事と結婚の両立を目指して弁護士になるというストーリーだ。現代から見ればハラスメントや偏見、ルッキズム、ストーカーなど問題アリのシーンやセリフが多いのだが、それがかえって「時代」をよく表している。
「会社の上役が松嶋に『デカイなぁ』と平気で言ったり、若い女子社員が独身の先輩をお局扱いしたり、今見ると差別的な表現が満載で、かえって笑ってしまいます。50、60代の女性視聴者は、女性の濃いメイクやヘアバンド、かっちりしたスーツにパンプスなどのファッションを見て『あ~、私もあんな格好してた』と感慨にふけっているようです」(朝ドラ研究家)
いや、男性も惹き付けられるのではないか。松嶋をはじめ、母親役の夏木マリや叔母役の川島なお美ら、女性キャストが個性的で色香十分なのだ。朝ドラ研究家が続ける。
「第1章のゲストとして、浅野ゆう子が松嶋の上司役で出演していたのですが、バブル期に売れまくった浅野は役にピッタリ。松嶋と一緒にスーツを着て歩く姿は『脚線美の競艶』でした。松嶋は当時まだ22歳で初々しく、山下達郎の歌で始まるドラマのオープングはさながら、松嶋のイメージビデオですね。当時44歳の夏木は日本人離れした目鼻立ちでゾクッとするほど美しく、30代半ばの川島はコケティッシュでかわいらしい。今の若い女の子を見ても見分けがつかない50代男性も、それぞれ個性的でわかりやすい彼女たちを安心して楽しめます」
「ちむどんどん」を数十年後に見たら、いつの時代のドラマに思えるのだろうか。