自身が院長として勤務する美容外科クリニックの20代女性従業員に、レストランで食事中に睡眠薬を飲ませて乱暴したとして、「東京ミッドクリニック」(東京都江戸川区)の院長で美容整形外科医の竹澤章一容疑者が6月30日、警視庁捜査1課に逮捕された。
竹澤容疑者は黙秘を続けているそうだが、同クリニックの患者口コミ欄の評判は上々。脂肪吸引や、たるんだ顔の皮を糸で吊り上げるリフティング手術がうまいとのレビューが並ぶ一方で「(脂肪吸引したい)太腿をしっかりと触診してくれた」「どれくらいバストアップしたいか確認してくれた」など、患者がコンプレックスを抱く部分への「熱心なボディタッチ」に言及するコメントも散見されるのだ。ベテランの美容形成外科医が解説する。
「脂肪吸引は全身麻酔で行うため、麻酔の扱いは手慣れたもの。手術前や手術後のリラックス目的や、痛みによる不眠を防ぐために、睡眠導入剤も使います。昏睡させるためにはどれくらいの睡眠薬を使えばいいか、あるいはバストとヒップの形状、肉質まで、服の上からその女性を一瞥しただけで、ある程度わかります」
東京ミッドクリニックを経営する医療法人社団のウェブサイトには、同クリニックの開設は21年10月とあり、月給70万円を謳って准看護師を募集していた。美容形成外科医が続ける。
「昨年10月の開業時にスタッフを揃えたはずのクリニックが、開業から半年あまりで女性職員の募集を繰り返すのは異常です。何かあって退職者が相次いでいる、と考えていい。このご時世、医療事務や准看護師のクリニック勤務募集は、若干名の募集に数百人が応募してくる。書類選考だけでも大変です」
なお、竹澤容疑者の名前を厚生労働省の医師検索サイトで探しても「条件に該当する医師等は存在しません」と医師免許は確認できず、高須克弥院長が指導医をつとめる日本美容外科学会の専門医リストにも名前がない。
一方で、東京ミッドクリニックの院長経歴(今はサイト閉鎖)には大韓民国美容外科学会会員、大韓民国抗加齢学会外院会員の資格が並ぶ。
例えばの話だが、外国籍の医師の場合、医師の登録名は本籍で登録していても、日本国内での診療では日常使っている通名を標榜することがある。あるいは国籍を問わず、過去に医療ミスや性犯罪で逮捕歴、厚労省で処罰歴のある医師が婚姻や養子縁組で名前を変え、素知らぬ顔で診療を続けていることも。
われわれ患者は目の前にいる医師がどんな経歴の持ち主なのか調べることもできない、ザルのような検索システムで、厚労省が性犯罪を犯した医師には甘いという証左だ。
はたして竹澤医師に余罪はあるのか。捜査の行方を見守りたい。