元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
一時期の「センテンススプリング」が不貞ネタばかりを追っていたかのように、最近のメディアは、こぞって政治家や役人たちの会食探しに躍起になっているように見えます。ちょっとくらいご飯食べに行ったっていいじゃない、と思うけど。とはいえ、厚労省の23人での大宴会開催はいかがなものか。
このスキャンダルは3月24日夜の話。その時点では、緊急事態宣言は解除されていました。おそらく「解除、待ってました。早く飲みに行きましょう」の流れでしょう。さらに厚労省によれば、このドンチャン騒ぎは人事異動に伴う送別会だったとか。この時期にそれだけの人数が集まってまで送らないといけない人物とは、いったい誰!?
もっと言えば、営業リミットが過ぎたのに「もうひとり遅れてくるメンバーがいる」と言って店に居座り、「お客さん、そろそろ」と促されながらも、ようやくラスボスが現れたのが、21時30分頃。そこからテッペン(深夜12時)直前まで続いたというお粗末さですが、そこまで大御所然として登場した最後の「刺客」とは──。
ちょっと興味が湧いて探ってみたのですが、結局お茶を濁され、「送られ人」も「最後の刺客」も判然としませんでした。
表に出ていたのは、主催者である老人保健課の眞鍋馨課長。今回の責任を一手に担った形で減給1カ月の更迭処分となりましたが、自業自得でしょうね。だって、老人からすれば最大の敵がコロナなのに、老人を担う総本山にいる課長が、夜中まで酒盛りというのはイメージが悪いです。
憂うべきは田村大臣。閣僚給与2カ月分の自主返納を表明しましたが、厚労省が勝手に開いた誰かの送別会で、すんなりと責任を取る。田村大臣は少し株を上げたと考えます。
とはいえ、厚労省のコロナ対策室なんて、本当にかわいそうなモンらしいですよ。あらゆる局から人員が駆り出され、狭い座敷みたいな部屋に押し込まれて作業をしている様には、同情の余地ありとのこと。
設置された当初、各所からの差し入れなどの労いもあったけれど、今では誰も見向きもせず。ワクチンも始まったとなると、ひたすらいろんな方面から突かれて、ストレスの塊でしょうし。
コロナ対策をしないといけない人々が、ストレスを溜めすぎて酒で発散する。ここが人間らしいところではありますが、「厚労省がやってるんだったら、別に宴会くらいやっても大丈夫なのだろう」という方向に国民は進まないように‥‥と、アナウンサーが読み上げるたびに、それがかえって「厚労省はあまり気にしていない。コロナはやっぱりただの風邪」というサブリミナルになっていませんか。
コロナを要因とする世間の不整合が際立ち始めています。感染拡大により、宮城県では独自の緊急事態宣言が出される‥‥などのニュースの直後に、オリンピックの聖火ランナーが走り出した華々しい映像が流れる。そんなチグハグな構成をするメディアも、ちょっとおかしい気がします。
さあ、桜の季節も終わっていきます。桜の会はありませんでしたが、厚労省の皆さん、次は眞鍋課長の送別会を開かないと‥‥ですね。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。