恐怖に押し潰され、半ば意識を失っていたという彼女がようやく体の自由が利くようになったのは、午前8時頃だったという。
「気づいたら部屋に光が差し込んでいて、時計が見え、誰かの家にいるということがわかりました」
部屋の中に外科医を見つけ、「ワインに変な薬を混ぜたでしょう」と問いただしたAさんに対し、外科医は「そんなわけがない」の一点張り。あげく、「キミから誘ってきたんだろう」と言われ、絶望のあまり目の前が真っ暗になったという。
聞けば、目が覚めた家はこの外科医が「飲み会用」として借りている外苑前のマンション。他の医師2人はすでに帰っていた。
「医者たちがグルだったに違いありません」(Aさん)
帰宅後すぐ、参加していたもう1人の女性に電話したところ、「解散する時もまだぐったりしていたので、外科医の人がタクシーで送っていった」と説明。どうやら医師たちはマンションで合流したようだ。
当初は医師3人に対し、刑事告発を考えたものの、会に誘ってくれた同業者でもある知人女性の体裁を考え、泣き寝入りすることにしたと彼女は語る。
「最近は『ひょっとしたら、あの子もグルだったのかもしれない』と思うようになりました」(Aさん)
この一件以降、極度の人間不信に陥り、東京を離れ、現在は東海地方の実家で暮らしている──。
医師はなぜこうした鬼畜事件を引き起こすのか。
「今はとにかく医者がモテる時代。どうしても医者とつきあいたいと、玉の輿をもくろんでガツガツいく女の子が多いので、勘違いされてもしかたありませんね」
こう語るのは、富裕層男性との人脈が豊富で、飲み会をたびたびセッティングしているという、広告代理店勤務の30代OLだ。
「医者合コンの現場では『お持ち帰り』が前提になっていて、全然イケてない男性でも、肩書だけでモテまくっています」
性犯罪に至る「勘違い」が生じるほど医師がモテる背景について、「長引く不況で、相対的に医師の地位が向上したからでは」とジャーナリストの本折浩之氏は指摘する。
「『失われた20年』と呼ばれる経済低迷で、平均的なサラリーマンの収入ではいい生活ができなくなってしまった。加えてリーマン・ショック以降、安定志向が強まっている。安定的に高収入を得る医師が年々モテるようになるのは日本社会の必然です」
今や社会問題となった、医師の性犯罪。女性は肩書だけに惑わされてはいけない。