芸能

小林亜星が「これは盗作じゃないか!」服部克久とのドロ沼訴訟4年「執念の結末」/壮絶「芸能スキャンダル会見」秘史

 作曲家の小林亜星氏と服部克久氏。98年、音楽界の大御所の間で「仁義なき戦い」が勃発した。

 同年7月30日、都内のホテルで記者会見を開いた小林氏は、5年前に服部氏が作ったテレビ番組の挿入歌「記念樹」が、67年に自身がCMソングとして書いた「どこまでも行こう」にそっくりだとして「著作権侵害!慰謝料を払え!」と怒りを爆発させたのである。

 会見場には大型スピーカーが用意され、最初は2曲を別々に流す。その後、両者を重ねたものを流して類似性をアピールした。

「僕も最近までその歌を知らなくて、女房から『替え歌でも作ったの?』と聞かれて初めて気が付いて。聴いてみると、僕の曲と同じじゃないですか。2、3小節ならともかく、リズムのつながりから音程まで同じなんだから。ここまで似るのは何億分の1の確率。つまり、盗作だということ。どうしてこんなことをするのか、本当に悔しいし、残念でなりません」

 小林氏は服部氏に対し、文書で事情説明を求めたが、服部氏は「似ていない」と真っ向から反論。そこで7月28日に、服部氏に対して1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことでこの日の会見になった、と説明した。

 むろん、服部氏も黙ってはいない。すぐさま会見を開くと「名誉棄損で反訴も考えている」とコメント。戦いの舞台は法廷へと移り、全面対決の様相を呈することになった。

 そこで音楽評論家を取材すると、

「音符の数は有限なので、偶然似ることは少なくない」

 と前置きして、次のように分析した。

「仮に盗作だったとしても、それを証明するのはおそらく至難の業。ま、裁判に持ち込むこと自体に、無理があったような気もしますが…」

 99年11月19日、東京地裁は「メロディーに同一性は認められない」として、小林氏の請求を棄却。同氏の全面敗訴により「盗作」という主張が退けられる結果となった。

 判決後に記者会見を開いた小林氏は、憤懣やるかたない様子でコメント。

「提訴して最高裁まで争う覚悟。この闘いは私のライフワークになる」

 片や服部氏は「極めて妥当な判決」と話し、まさに両者の明暗は分かれた。

 ところが小林氏は、それでも怯まない。判決を不服として、今度は編曲権侵害に主張を移して争うことになったのである。

 結果、02年9月の東京高裁における控訴審では、判断が一転。両曲には「表現上の本質的な特徴の同一性」があり、「類似性が偶然の一致によって生じたものと考えることは不自然・不合理である」と結論づけた。小林氏と音楽出版社に対し、約940万円の損害賠償を命じる判決が下されたのだ。

 服部氏はこれを不服として上告したが、最高裁は上告を不受理。最終的に「記念樹」の作曲は著作権法違反にあたる、との判断が下った。

 騒動勃発から4年、まさに執念の「ライフワーク」が完結した瞬間だった。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
5
巨人が手ぐすね引いて待つ阪神FA大山悠輔が「ファン感謝デー」に登場する「強心臓」