芸能

死の1カ月前に…松田優作が最期に語った医師への言葉/壮絶「芸能スキャンダル会見」秘史

 2009年8月4日、東京・六本木のアカデミーヒルズで、1989年に40歳の若さで亡くなった松田優作の生誕60年を記念したドキュメンタリー「SOUL RED 松田優作」の製作発表記者会見が行われ、妻で女優の松田美由紀が登壇した。

 同作は松田の軌跡を辿るドキュメンタリーで、映画やテレビ出演時の貴重な映像や、縁が深かった人たちのインタビューなどで構成されている。登壇した美由紀夫人は、

「20年はあくまでひとつの区切り。単なるノスタルジーからドキュメンタリー映画の製作を始めたわけではなく、これは以前からの使命でした。いつの時代も真面目、本気、熱いっていうことは敬遠されがちだけど、いちばん大事なことで、いちばんかっこいいし、いちばん人に届くと思う。そんな松田優作を是非感じてほしい」

 そう言って、今も変わらない夫・優作への思いを明かしたのだ。

 美由紀夫人の言う通り、「松田優作」はとにかくカッコいい男だった。だからこそ、その早すぎた死は伝説となり、今も多くのファンの心の中で生きている。

 体の不調を訴えた松田が美由紀夫人と東京・武蔵野市にある西荻窪病院を訪れたのは、亡くなる1年前の88年9月27日。しかし、その時すでにガン細胞は膀胱の壁にまで転移し、ほとんど手遅れの状態だったという。問診にあたった山藤政夫医師は当時、私の取材にこう答えている。

「松田さんが『先生、俺、おしっこが出ねえんだ』と言うので診ると、膀胱がパンパンに張っていた。すぐに麻酔をかけて膀胱に管を通し、血の塊を溶かして尿を排出しました。あの状態ではさぞかし苦しかったでしょうが、一切表情に出さず、とても強靭な神経の持ち主だと感じましたね」

 その後、山藤医師は松田に「膀胱ガン」であることを告げ、手術による摘出か、抗ガン剤を膀胱内に注入しつつ内服薬を並行する治療という選択があると話す。すると、

「『先生、この仕事(映画「ブラック・レイン」への出演)は、俺が一生に一度出会えるかどうかの、デッカイ仕事なんです。だから、どうしてもやり遂げたい。たとえそれで命を落としたとしても、やらせてください』と。私は医師として強く反対しましたが、彼の強い意思は変わりませんでした」(山藤医師)

 そして、「ブラック・レイン」が完成した10月7日、松田は再入院。松田が言った。

「先生、治ったら一緒に『ブラック・レイン』観に行きましょう」

 その1カ月後の11月6日、天才俳優は天に召された。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

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