趙氏は韓国の損益について、具体的に踏み込むのだ。
「もし安倍政権が反韓感情を利用し、対韓政策を繰り広げたとしたらどうなるのでしょうか。すなわち、日本が北朝鮮と国交を結び、数百億ドルの(戦後)賠償金を支払い、金正恩政権を強化させたならば、それは朴政権の南北統一政策の助けになるだろうか。国益を無視し、大衆の感情に訴える韓国マスコミの反日報道は、ブーメランとなって自分たちのところに返ってくるかもしれない。自重自愛すべき時なのです」
韓国の日本に対する敵対的報道と、中国に対する友好的報道が統合すれば、親中反日路線となる。これはすなわち、北朝鮮の核武装を止めようとする日本とは敵となり、庇護してきた中国と親しくなる道である。
「米韓同盟の解体、そして国家的自殺へと進んでいく道なのです。感情に走ってそんな計算ができない民族は苦しむしかありません」
昨年3月の安倍総理へのインタビュー取材から1年が経過した今年3月19日、趙氏はみずからのウェブサイトにこうも記し、韓国メディアを批判した。
〈昨年3月初め、私は東京の総理公邸で安倍晋三総理と対談を行った。彼は韓国の平和的自由統一を支持することを明らかにした。(中略)朴槿恵大統領を含む最近の韓国大統領の中では、我々が進むべき統一の方向に対して、安倍総理のように明確に言及した人はいない。(中略)これは日本と違う点だけを強調させる韓国のマスコミが無視している部分である。今は韓日間の共通点を見出し、国益を模索する時である〉
韓国では最近、さる研究機関による世論調査が行われた。「日本が韓国にとって脅威となる国であるか」という質問に対し、65.8%が「なる」と答えたのだ。ちなみに、北朝鮮は60.8%、中国は56%、アメリカは42.8%。驚きの数字である。これには趙氏もあきれ顔だ。
「日本には核兵器がなく、北朝鮮にはそれがある。日本は北朝鮮の核ミサイルの脅威を防ぐために韓国を助けることができる国です。北朝鮮は中国と軍事同盟関係にあり、日本は韓国の同盟国であるアメリカと同盟関係にある。どちらがより危険でしょうか。それでも韓国人がこのような考えを持つようになったのは、韓国メディアの過剰な反日報道と、執拗にマスコミと世論を追いかける韓国政府の親中反日外交路線に問題があるのです。誰が仲間であり敵なのかをしっかりと分けて考えなければなりません。この彼我識別を誤れば、国が滅びることになります。多数の国民が日本を北朝鮮よりも敵であると誤った判断をした代償は、きわめて大きなものとなるでしょう」
冒頭のセリフに続き、再び「滅びる」という強烈な言葉で、趙氏は危機感をあらわにするのだった。