プロ野球オールスターゲームと聞いて、71年に江夏豊(阪神)が記録した「9者連続三振」を想起される方も多いことだろう。
プロ通算2987奪三振を記録した江夏氏は、79年5月11日には節目となる2500三振を王貞治(巨人)から奪うなど、世界のホームラン王に対しては、並々ならぬ闘志を燃やしていたものだ。
その江夏氏と阪神時代にバッテリーを組んだ田淵幸一氏が、
「あいつは頭が良いよ。本当にピッチャーとしてのね、技術以外のモノを持ってるね」
と絶賛したのは、元阪神・掛布雅之のYouTubeチャンネル〈掛布雅之の憧球【公式】〉でのこと(7月22日)。
王氏とのとある対戦を振り返り、
「オレが真っ直ぐ(のサイン)出すじゃん、首振るんだよ。7回首振ったんだよ。その時に、王さんがタイムかける…」
田淵氏が、
「お前、これ(ストレート)しかねえだろ!」
と言うと、江夏氏は、
「王さんが気合入ったらタイムかけるんだよ。だから首を振ってんだよ!」
対戦相手との「間」を外す駆け引きを口にしたのだ。
ストレートとカーブだけで勝負していた江夏氏にとって、駆け引きは球種以上の役目を果たしていたのかもしれない。
(所ひで/ユーチューブライター)