現在もなお破られていない、江夏豊氏(阪神)が1968年に記録した、シーズン401奪三振。高卒2年目がやってのけた大記録ながら、それまで稲尾和久が持っていた353奪三振の記録を打ち破った試合は、その偉業をことさら伝説たらしめている。
元阪神・掛布雅之氏のYouTubeチャンネル〈掛布雅之の憧球【公式】〉に、江夏氏が出演(6月12日)。この年、本塁打王と首位打者の二冠に輝いた「世界の王」から、354の日本新記録となる三振を取ると公言。そして臨んだ、9月17日の巨人戦である。
王から三振を奪い、「自分ではルンルン気分でベンチに帰って…」と上機嫌ながらも、それが353のタイ記録という計算間違いだったと気付く。
江夏氏は気持ちを切り替え、次の王の打席で新記録を達成すべく、打たせて取るピッチングに徹した。
「0対0」の投手戦。得点されることなく、8人を打たせて仕留めることは容易ではない。だが、長嶋茂雄をも抑え、末次利光のヒット1本で凌いで、ついに新記録へと辿り着いたのだった。
もっとも、江夏氏にとって難易度が高かったのは、投手に打たせることでもあったようで、「真ん中低めに置きにいった」と告白して、掛布氏の笑いを誘う。
この試合、延長(12回)の末、江夏氏自らのサヨナラヒットで勝利を手中に収めている。
(所ひで/ユーチューブライター)