16年「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)や19年「きのう何食べた?」に、20年「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(ともにテレビ東京系)といった連続ドラマのヒットと相次ぐ映画化も追い風に。今や毎クール、ドラマのテーマとして欠かせなくなっているのが、ボーイズ・ラブ(通称=BL)だ。エンタメライターが解説する。
「別名『や・お・い(=山なし、オチなし、意味なしの略)』とも呼ばれ、数年前までは、BL好きであることを隠そうとする傾向が多少なりともあったように思います。15年の石原さとみ主演の連ドラ『5時から9時まで~私に恋したお坊さん~』(フジテレビ系)では、石原扮する潤子が勤務する英会話スクールの講師かつ同僚役の高梨臨が、自宅にごっそりとBL系の漫画類を買い並べている。ことあるごとに脳内でBL要素満載の妄想ばかりしてしまい、それをひた隠しにする独身女子を好演していました」
しかし今や、書店やネット漫画でBLものは花盛りで、むしろ堂々と買い求める人が増えている。ドラマライターの解説を聞こう。
「今期も何本かBLをテーマにした連ドラが放送中ですが、第5話まで放送された『みなと商事コインランドリー』(テレビ東京系)は、草川拓弥の初主演にして代表作になりそう。祖父が営んでいたコインランドリーを継ぐために、地元にUターンした草川扮する湊に、西垣匠扮する常連客で高校生の慎太郎が、ド直球でグイグイと距離を縮めていく。打算のない清廉な告白シーンなど、回を追うごとに腐女子を中心に刺さりまくりで…」
草川は事務所の選抜ユニット「超特急」に属し、役者を始めた当初は「顔がいい」ので俳優業もやっています、的な印象が否めなかった。それでも「家売るオンナの逆襲」(日本テレビ系)でのやんちゃな新人社員役、「同期のサクラ」(日本テレビ系)での空気の読めない若い夫婦役、「ラブコメの掟」(テレビ東京系)での毒舌な弟キャラ、冒頭で挙げた「30歳まで童貞だと──」の、ちょい鈍感な後輩サラリーマン役など、主に若さや生意気さを生かし、少しずつ脇で絵面を引き締められるようになってきた。前出のドラマライターは、
「今回は、自らをアラサーのおっさんと呼び、未成年の慎太郎(西垣)に何度も唇を奪われそうになるのを、なんとか大人の理性で寸止めする。ジェンダーレス役は初めてではないものの、草川の役者としての成長ぶりが伺えます」
ゾンビと対峙するドラマがゴールデン・プライム帯で放送されるご時世ゆえ、BLをメインテーマにしたものが民放キー局のゴールデン帯で放映される日も、そう遠くないのかもしれない。
(島花鈴)