島田陽子に続き、映画で活躍した俳優がまたひとり亡くなった。7月26日に87歳で、老衰で死去したと発表された俳優・石浜朗さんだ。
東京・千代田区出身の石浜さんは暁星高校在学中、16歳で映画「少年期」でデビュー。切れ長の美形俳優として、美空ひばりと共演した「伊豆の踊子」「人間の条件」「切腹」などで活躍した。映画業界の衰退に伴い、テレビや舞台に活動の場を移すと、大河ドラマ「竜馬がゆく」「おんな太閤記」や「水戸黄門」などの時代劇に出演した。ベテランの芸能記者が言う。
「黒澤明監督の名作『七人の侍』でいちばん年下の侍役のオファーも受けていたそうですが、かわいがってくれていた木下恵介監督の助言で断ったそうです。『七人の侍』は海外でも評価の高い作品でしたから、出演していたらまた違う役者人生だったかもしれません。石浜さんはその後、テレビ隆盛の波にうまく乗れず、一時は実業家に転じ、水難救助員や釣り餌の輸入業、不動産業、パブ経営などを手がけていました。ドラマではギャラを安く抑えられ、『役者じゃ食べていけない』ということでしたね」
私生活もあまり知られていない。女性にモテモテだった石浜さんは一般女性と結婚し、53歳で離婚。ひとり娘は女優(石浜美希)になり、石浜さんの葬儀では喪主を務めた。先の芸能記者が明かすには、
「娘さんが女優になることに反対し、デビューした当初は『親の七光り』を絶対に使わせなかったそうです。温厚で優しい方ですが、役者業は厳しいと身をもって知っていたので、諦めてほしかったようですね。日本映画俳優協会理事長など役職もいろいろ引き受けていましたが、本当はそういう肩書きを背負うことを好まず、業界関係者と縁を切ろうとしたこともありました」
映画業界や役者業の裏話をもっと聞きたかった──。