今週の重賞は新潟と札幌で1つずつ。ともにダート競馬で、新潟のそれは3歳馬によるレパードSだ。
今年で14回目と歴史は浅いが、トランセンド(第1回)やホッコータルマエ(第4回)など、勝者の中には、ここを踏み台にダート界のスターになって活躍を続けた馬は少なくない。
そうした視点で顔ぶれを眺めてみると、今年もなかなかの素質馬ぞろい。各陣営自慢の逸材ばかりだ。
目移りして絞りづらいが、まずは過去の傾向を探っていこう。
これまでの13回で1番人気馬は6勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。第1回から第8回までは1、2番人気馬のいずれかが連対を果たしていたが、最近は荒れ気味だ。
ただ、1、2番人気馬によるワンツー決着が2回あり、馬単万馬券は4回(馬連は2回)。人気勢が総崩れというケースは少なく、中穴傾向の重賞ととらえるべきだろう。
あと、夏場は暑さに強い牝馬の活躍が目立つが、エルムSともども、牡馬に軍配が上がる。牝馬の出走頭数が少ないとはいえ、力を要するダート戦。総体的にみて牡馬は体が大きく、パワーに勝るからだろう。
とはいえ、今回は牝馬を軽く見るわけにはいかない。ヴァレーデラルナ、ラブパイローなどは体が大きく、牡馬まさりと言っていい、パワーの持ち主だからだ。
当欄が注目しているのもその牝馬。ヴァレーデラルナに最も期待を寄せてみたい。
1勝クラス(阪神、ダ1800メートル)を勝ち上がったばかりだが、その勝ちっぷりがすばらしく、「強い」の一語だった。古馬を相手に2着馬に6馬身もの差をつけ、楽々と逃げ切った。
手綱を取った岩田望騎手は「まだ余裕があった。素質はかなりのもの。今後が楽しみ」と、手放しで絶賛するほどだ。
ダート戦は6戦(全て1800メートル)して1着2回、2着4回とまだ連対を外しておらず、前走から斤量が2キロ増の54キロでの出走となるが、500キロを超える巨漢馬だけに、まずは問題ないとみていい。
南米産の血筋で母はアルゼンチンのGI勝ち馬。芝、ダートを問わず活躍した馬で、晴雨にかかわらず大いに期待したい。
一方のエルムSも牡馬が圧倒的に好成績を残している。やはり、ノビシロ十分の4歳馬、脂が乗る5歳馬が強く、これまで他の世代を大きく上回る活躍ぶりをみせている。こちらも中穴傾向の重賞で、馬単が導入された02年以降の20年間、その馬単での万馬券は5回(馬連では1回)という具合だ。
狙ってみたいのは、4歳馬ブラックアーメットだ。オープン入りして以降は、ひと息足りないレースを繰り返しており、評価はイマイチ低い。
しかし、函館での前2走(大沼S4着、マリーンS8着)は、落鉄と出遅れが響いたもの。それでもしまいの追い上げは、ともになかなかで、まともだったら──と悔やまれもした。
だから、スムーズな競馬ができれば、晩回は大いに可能とみたい。
函館戦を2度使われ、この中間の状態はかなり良化している。中間の稽古内容がよく、1週前の追い切りも実にリズミカルだった。
母はオープンで走っていた馬で、4代母ビクトリアクラウンはエリザベス女王杯を勝った女傑。血統からもGIII戦ならチャンスは十分あるとみていいのではないか。
ここは実績ある距離での競馬。逃げ・先行勢が多く、展開も向きそうで“一発”があっていい。