球界の盟主を自認する巨人に対し、球界内部から「ズル休み疑惑」の声が日増しに高まっている。球界関係者が言う。
「巨人だけがコロナの影響を理由に何試合も延期を認められて、優遇されているという声があるのは事実」
確かに、巨人はコロナ禍で大量離脱者を出した。そのため、持ち回りの臨時セ・リーグ実行委員会で「選手たちがコンディション不良のまま実戦に臨んで大きな故障をしないことに留意しながら、試合に必要な最低限の選手数が揃った時点で、すみやかに公式戦に臨む」と要請。それが認められ、6試合が中止となった。
だが、その時間をチーム再編にあてた、との声は根強い。長年、プロ野球の中継に携わるテレビスタッフは、次のように話す。
「オールスター期間を挟んで、13日間も試合をしなかった。ちょうど疲れが溜まる時期で、陰性判定の選手にはいい休養になった面もありますね。陽性と判定されて症状があり、体を動かせない選手は別にしても、無症状の選手はある程度、体は動かせる。巨人が言うように『筋力が落ちて選手が危ない』というようなことはないはずです」
事実、8月2日の阪神戦(甲子園)から試合を再開して以降の巨人は、3カードを終えた時点で5勝4敗。再びクライマックスシリーズ(CS)への出場権を得るAクラス入りに手が届くところまで戻ってきた。在京スポーツ紙デスクは、次のように状態を分析する。
「戸郷もプロ入り初の2ケタ勝利に到達したし、山崎伊、堀田などの先発陣もよくなっている。大勢も戻ってきたし、クロールを使えるメドが立った。高梨、平内もそれなりに投げている。一時に比べて、投手陣は安定してきている」
一方、2位を走っていた阪神はここにきて大山、近本、中野の主力選手が相次いで陽性判定を受けて離脱。大量離脱ではないため、試合は延期とはならならないが、大幅な戦力ダウンを強いられている。
また、ヤクルトは一時、選手が大量に離脱したものの、あまり試合が延期されなかった影響を受け始めている。
現状、菅野智之、坂本勇人がチームを離脱。主砲・岡本和真の打撃も低迷しており、リーグの覇権奪回は難しい情勢にある。だがCSに出場できれば、日本一奪回のチャンスは巡ってくる。そうなれば「ズル休み疑惑」の大ブーイングがさらに大きくなるのは間違いない。
(阿部勝彦)