今季の菅野は3連続完封勝利を成し遂げているが、その直前、4月11日の広島戦で尾花コーチに対し、わだかまりが生じたという。味方の拙守もあり、6回途中で同点とされ、なお二死一、三塁で菅野は交代。ところが、2番手はルーキーの谷岡竜平(21)だった。菅野がエースとしてのプライドを傷つけられただけでなく、継投失敗でチームも痛い敗戦。由伸監督のまる投げによる、尾花コーチの不可解采配が最悪の形で露呈してしまったのである。
「数日後、よみうりランドで室内練習を行っていた菅野は、ごく近くに尾花コーチがいるのを知っていながら、聞こえるような大きな声で『いろんな考え方があるんですけど、僕は最後まで投げたかったです』と報道陣にブチまけたんです。そもそも菅野は尾花コーチに対してだけでなく、球団にもうんざりしている。その一つが年俸。エースの自分が推定年俸2億3000万円だというのに、FAで獲得した山口俊(29)は3年7億円で契約したと言われている。単純計算すれば、たった1年しか2桁勝利をあげたことのない外様ピッチャーが自分より評価されているんです。菅野は昨オフからブチ切れていました」(球団関係者)
自身は15年に防御率1点台という成績をあげながら、オフに「微増」という評価しか受けなかっただけに、球団に対する不信の根は深そうだ。
仮に現在の危機的チーム状況で、これまでまったく働かなかった山口が戦線復帰して救世主的扱いをされれば、ますますおもしろくないだろう。
不満を抱えた菅野は交流戦直前、親しい関係者から意気込みを問われると、
「今年はパ・リーグの強力打線にどこまで通じるか、試してみたい」
と熱く語っている。真意をスポーツ紙デスクが解説する。
「菅野は『セ・リーグよりスイングが鋭く痛打される』と漏らすほど、打者の力はパ・リーグのほうが上だと考えています。例年ならチームの勝利を口にするはずですが、今年はついに“個”を優先する発言をした。今までなら考えられないことです。3月のWBCでメジャーの強打者を抑えたことで自信がついたこともあるのでしょうが、パの強打者たちとの対戦をメジャー移籍へのアピールの場と捉えている」
巨人は過去にポスティングシステムを使ってのメジャー移籍を認めていないが、すでに心が離れた菅野の流出ということになれば、さらなる大きな動きまでが予想されている。やはり他球団への流出を恐れ肩書だけの役職で囲い込んだと言われる、菅野の伯父・原辰徳球団特別顧問(58)も巨人に残るしがらみがなるからだ。そして、以前からささやかれ続けていた原氏の日本ハム監督就任が加速するという。
「昨年の日本一から一転して、劣勢を強いられている日ハムですが、栗山英樹監督(56)が今季限りで退任し、GMとして球団に残るというのです。もともと栗山監督は監督ではなく、GMをやりたかったのですが、当初から『(目標は)原さんを日ハムの監督にする』と語っていました。解説者時代から、現在の自身の指導者理念ともかぶる、若手育成をしっかりしてチームを底上げする原氏の姿に感銘を受け、『野球論が好きだ』と尊敬していましたからね。とはいえ、原・日本ハム構想はまだ水面下での話なのに、敏感なのは逆に巨人サイドなんです。昨年、栗山監督の待望で実現した(原氏の後輩となる東海大相模出身の)大田泰示(26)の日ハム移籍についてまで『原監督誕生の布石だったのではないか』と危ぶむ声が出ている」(球界関係者)