“7番手”からでも深谷知広がまくり切る
機動型でも勝ちパターンのポジションを取るには、強引さも身につけなければならない。
今年2つあるGIIの初戦が、伊東「共同通信社杯」(4月26日【土】~29日【火】)。初日の12レースは、全て1次予選。S級S班といえども、まずはここをクリアしなければならない。それだけに、若手が売り出すには絶好の舞台。持ち味を存分に発揮してアピールしてほしい。
伊東競輪場は333バンクの中では直線が長く追い込みも効くが、勝負を左右するのは、やはり先行タイプの動き。押し切るか、それともまくりが届くか。ゴールまで目が離せない激闘に期待したい。
3月松山記念決勝戦で、新田祐大の落ち着いたレースぶりが光った。前を取らされたものの簡単には引かず中団をキープ。バックから先に仕掛けて、深谷知広とのまくり合戦を制して見せた。強引にでも位置を主張して慌てず踏み出せば、スピードの違いで勝てるとわかったのではないか。
2月の高松全日本選抜で1年半ぶりにGIの決勝戦に乗ったのが脇本雄太。自転車競技と掛け持ちしての好走は、もっとたたえられていい。2周先行しても粘れる脚力は、若手先行の手本になる。
その若手の機動型で注目しているのが99期の猪俣康一と竹内雄作、101期三谷竜生。猪俣は37歳もレースは若さにあふれている。3人には4日間バックを取る積極性が、財産になるはずだ。
さて、並びと展開。北日本は新田祐─成田和也─山崎芳仁の福島トリオ。菊地圭尚はこの4番手を嫌い単騎戦か。関東は池田勇人─平原康多─芦澤大輔、そして地元南関地区は新田康仁─林雄一。西日本勢は中部が深谷─金子貴志─浅井康太、近畿は脇本─稲川翔と藤木裕─稲垣裕之─村上義弘の京都ラインで別線。九州の菅原晃─井上昌己までが圏内と見た。
激しい先行争いになっても、脇本が主導権は譲らない。藤木が早めに巻き返すところを、新田祐と深谷がまくることになる。
ライン3車なら、7番手からでも深谷がまくり切る。先まくり打つ新田祐が対抗だが、池田の粘りしだいで平原も差はない。
伏兵は小松崎大地、和田真久留、古性優作の3選手。先にあげた若手3人の機動型とともに、トップクラスを相手に番狂わせを演じれば、シリーズが盛り上がるのは間違いない。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。
◆アサヒ芸能4/22発売(5/1号)より