今週、東京では「フローラS」が行われる。傑出馬不在の大混戦。はたして樫のキップはどの馬に。一方、京都の「マイラーズC」は、安田記念のステップレース。ワールドエースは賞金を加算するためにも、ここが勝負だ!
直線、最後方からの一気のゴボウ抜き。桜花賞でのハープスターの圧倒的な強さには舌を巻くほかなかった。この女傑に敗れた2着レッドリヴェール以下、上位入線組は、いずれも3歳牝馬では高い評価を受けていたものばかり。
でも、このハープスターという怪物ばりの強さの前に完膚なきまでに叩きのめされたこの上位組は、賞金が足りていることもあり、ハープ同様、オークスには直行で臨む。だからこのオークストライアル・フローラSは、第2グループの顔がなく、いわば“第3グループ”による争いになる。1勝馬(500万条件)も多く、レベル的なことを言えば、ここで勝ち負けしても本番では厳しいだろうと見られる顔ぶれだ。
ではその顔ぶれを見てみよう。阪神JF6着、続くクイーンCクビ差2着のマジックタイムが出走してくる。左回りがスムーズということで前走後、成長を促すことを目的として放牧。ここは満を持しての再登場となる。この馬とフラワーC2着マイネグレヴィル、上がり馬のハピネスダンサーあたりが人気を集めそうだが、桜花賞上位組に比べると、かなり力に開きがありそう。であるなら500万条件馬(抽選)でも出番は十分ありそうだ。
東京の芝2000メートルは、2コーナーにあるポケットがスタート地点。中山のマイル戦と同じく、加速がつくところで急に折れる最初のコーナー、つまり2コーナーがある。よって多頭数になればなるほど外枠の馬はスムーズにコーナーを回ることができずに不利を被りやすい。今回はフルゲート(18頭)必至。抜けた馬がいないだけに、枠順による有利、不利は大きいと言えそうだ。このへんが馬券のポイントになるが、枠順発表前にどうこう言えることではない。
いずれにせよ、ここにハープスターはおらず、混戦模様と見てよいだろう。
好枠を引き当てることを条件に狙ってみたいのは、ヘイジームーンだ。
1勝馬(500万条件)は抽選で除外される可能性もあり、ここで推奨するのに気が引けなくはないが、新顔の中にあっては、かなりの素質馬。ハープスター以外の桜花賞組と比較しても見劣りしない潜在能力の持ち主と見ている。
抽選組といってもフルゲートの半数以上は出走できる見込みなので、ぜひとも出走してもらいたい。
未勝利を勝ち上がったばかりのこの馬は、早くから大きく注目されていた厩舎期待の逸材。昨秋にデビューを果たすはずだったが、馬番発表を前にして負傷で取り消しの憂き目に。まともだったら桜花賞にも名を連ねていたのではと思っている。その前走、未勝利戦は2着馬にクビ差で時計も平凡だった。しかし、余裕たっぷりの勝ちっぷり。
「まだ体を持て余し気味だが、ここにきて目に見えてグングンと良化。牝馬同士ならオープンに伍してもヒケは取らないはず」
戸田調教師はじめ厩舎スタッフは、こう言って胸を張る。この中間さらに良化しており、1週前の追い切りも文句なしだった。素質のよさを裏付けるべく、血統がまたすばらしい。ウインクリューガー(NHKマイルC)、ディープインパクト(3冠)ほか近親、一族に活躍馬がキラ星のごとくいる良血だからだ。
走りっぷりから道悪も不安はなさそうだが、少々外枠でも良馬場なら大きく狙ってみたい。
手広く流したい連下だが、厚めに買ってみたいのは、同じ1勝馬のマローブルーだ。使うたびに力をつけており、この中間も順調そのもの。こちらも母系は欧米の一流血脈。枠順しだいでは大勢逆転も可能な素質馬だ。
◆アサヒ芸能4/22発売(5/1号)より