「オレもしんどかったけど、2人ともしんどかったか」
「そうですよね」
これは07年秋に放映された、黄桜酒造のCMのひとくだりだ。
78年、事件とまで呼ばれるに至った「空白の1日」を利用して巨人入りした江川卓氏と、それによって巨人から阪神に移籍した小林繁氏が出演したバージョン。小林氏の柔らかな物言いに、うやうやしく腰を折る江川氏。台本ナシのフリートークで構成された夢の共演は当時、大きな話題となったものだ。
8月14日、江川氏が自身のYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】〉で、撮影当時の心境を回想した。
「小林さんにご迷惑をおかけしたことを、お会いして謝ることができない時だったので、小林さんがもしよろしいんでしたら、私は断る理由はありません」
そう言って、CM出演オファーを快諾。
「小林さんのそのひと言で、肩の荷が下りた感じでしたか」
スタッフに問われた江川氏は、次のように答えた。
「下りないですね。変な意味じゃなくて、ありがたい言葉なんですけど、(小林氏にかけた迷惑は)自分は一生残っているので、言われて『ああ、終わった』とか『済んだ』という感覚は全然ないです。ずっと申し訳ないのが続いてる。肩に100キロ乗っかってるものが99キロになったかな。1キロ減らしていただいたという感じはありますけど…」
小林氏は既に他界。再び相まみえて…とは叶わないのが残念である。
(所ひで/ユーチューブライター)