旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を自己申告すること。その上で、関連団体も含めた旧統一教会との関係を完全に断つこと──。岸田文雄総理・総裁は今回の内閣改造と自民党役員人事にあたり、新閣僚や新役員らにこう厳命し、各人に約束させた。
ところがフタを開けてみれば、出るわ出るわの底なし沼状態。事実、これまで旧統一教会との関係を認めた政務三役(大臣、副大臣、政務官)だけでも31人に上っている。
しかも、関係議員らの歯切れは悪い。目下、批判の矢面に立たされている萩生田光一政調会長もなぜか「今後は旧統一教会との関係を一切絶つ」とは断言せず、この期に及んでもなお「一線を画す」「適切に対応する」などと、態度を留保する始末なのだ。
なぜ「絶縁宣言」ができないのか。この点について、自民党本部の選対関係者は、
「旧統一教会票と信者運動員が『中毒物質』そのものだからです。それゆえに、ヤメたくてもヤメられない。信者運動員について言えば、選挙の際のポスター貼りから有権者への電話がけ、街頭演説での動員に至るまで、無報酬で献身的に働いてくれます。公選法上、ウグイス嬢などのごく一部の例外を除き、選挙運動員に報酬を支払うことは禁じられているため、一般の支援者はここまで協力してはくれません。要するに、候補者にとって旧統一教会の信者運動員は、絶対に手放したくない、稀有にして強力な援軍なのです」
さらに別の自民党関係者は次のように指摘し、内情を明かした。
「一方、信者を中心とする旧統一教会票は最大でも15万票程度とされ、その意味では圧倒的な票田というわけではありません。ただし、国政選挙で当落線上にいる候補者の場合、数千票から1万票の差で当落が決まるケースもある。これが地方選ともなれば、旧統一教会票のありがたみはさらに増します。それゆえに、当落線上にいる候補者はもとより、その面倒を見なければならない有力議員も含めて、旧統一教会にこぞって接近しては支援を仰ごうとするのです。政治家は『落選すればただの人』ですからね」
しかし、問題の根はさらに深い。というのも、先の選対関係者は仮定の話としながらも、返す刀で次のような杞憂まで口にしているからだ。
「はたして候補者にとって中毒性があるのは、旧統一教会票と信者運動員だけなのか。もし旧統一教会側から実弾(闇ガネ)が流れていたような事案が浮上すれば、岸田政権どころか、自民党そのものが吹っ飛んでしまうことにもなりかねない」
まさにズブズブの極致である。