残暑が厳しい日が続き、昼間は外出を控えてしまう人も多いが、そんな人は「ビタミンD」の不足に注意が必要だ。
「ビタミンD」は、脂溶性のビタミンで、腸管からのカルシウムの吸収を助けたり、骨の成長促進や血中のカルシウム濃度を調節する役割がある。不足すると、副甲状腺ホルモン(PTH)のバランスが崩れて、血中カルシウム濃度が上昇。結果、骨粗鬆症になる危険がある。骨粗鬆症は、骨の中がスカスカになり、モロくなるために骨折のリスクが高まる。
「ビタミンD」は、日光と食品からの摂取が有効だ。紫外線に当たることにより、体内で合成することができるため、十分に日光に当たっている場合には、食品からのビタミンの摂取量が、多少不足しても問題ない場合が多い。
生成に必要な日光浴の時間は、冬の期間は日差しが弱いため1時間ぐらい必要だが、夏場は5分程度で十分である。ただし、日焼け止めを塗っている場合には、ビタミンDの合成量が低下してしまう恐れがある。起床時に窓を開けて日光に当たることもオススメだ。
食品からの摂取は、魚類やキノコ類だ。特に多く含まれているのは、いわし、鮭、サンマだ。20歳以上のビタミンD摂取の目安量は、1日8.5マイクログラムと言われている。鮭にはおよそ25.6マイクログラム(1切れ)、サンマは11マイクログラム(1尾)含まれているので、これだけで1日の目安量を摂取できると言える。
しいたけは、生しいたけに比べて、干ししいたけのほうがより多く含まれる。紫外線に当たるとビタミンDに変わる成分「エルゴステロール」が含まれているので、生のしいたけを天日干しにしてもいいだろう。
ただし「ビタミンD」の摂りすぎは腎機能障害の原因にもなるので、注意が必要だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。