深夜に何気なくチャンネルを回していたら、岡本太郎のモノクロ写真が飛び込んできた。そこに「なんだこれは!」の赤い文字。続いて、古ぼけたナレーションとともに映し出された画面比率4:3のアナログ映像。そこには怪しい書体で「奇獣 森の掟」と書かれ、安っぽい特撮の赤い怪獣らしきものが…。
「なんだこれは なんだこれは なんだこれは♪」と、「帰ってきたウルトラマン」で防衛チームMATが出撃するときの「ワンダバダバ、ワンダバダバ~♪」(通称「ワンダバ!!」)を模したBGMをバックに、ミニチュア模型丸わかりの建物の上を、赤い怪獣が飛ぶ。逃げ惑う人々に、緊急速報らしきテレビに映し出されたキャスターや解説者の姿は、昭和感満載の服装と髪型。
そこに隕石が落ちてきて、現れたのは銀色に赤いストライプの巨人。ウルトラマンのようカラーリングともいえるが、これはまさに「太陽の塔」のあのラインだ。首の上にあるのは金色に輝く「若い太陽の塔」の顔。すると「なんだこれは!そうそれは芸術の巨人TAROMANである!」とナレーションが。間髪入れずに映る「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」の文字。
実はこれ、7月19日(18日深夜)から7月30日(29日深夜)まで、Eテレで放送されたもので、特撮テレビドラマと番組終盤に設けられた「本放送当時を振り返る山口一郎(サカナクション)のインタビューパート」というドキュメンタリーで構成された5分間番組。とにかくぶっ飛んだ番組だった。
途中に挟まれた「展覧会“岡本太郎”開催」のナレーションと「大阪 大阪中之島美術館 令和四年7/23(なんだ)⇒10/2(これは)」「東京 東京都美術館 10/18⇒12/28」「愛知 愛知県美術館 1/14⇒3/14」とテロップまで。「本当に開催されるの?」と調べてみると、ちゃんと公式サイトがあった。
タローマンに会いたい! ということで早速、「展覧会“岡本太郎”」が開催されている大阪中之島美術館へ。岡本太郎の最初期から晩年までの代表作や重要作が約300点(!)も展示され、しかも、ほぼ全ての作品が「撮影OK」という大盤振る舞い。懐かしの近鉄バファローズのマークもあった。
そして、私を完全に魅了してしまったタローマンにも会えました(写真)。
こちらは展示会場内ではなく、美術館内の別コーナーに設置された撮影ポイントで、番組を見たであろう大人たちが、子供以上にはしゃいでいたのが印象的だった。10月からは東京でも開催されるので、ぜひ。
「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」の毎回のタイトルには岡本太郎の名言が使われていて、それが刺さる!「真剣に、命がけで遊べ」「同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ」。岡本太郎は永遠に不滅です。