数週前から永田町では、怪情報が飛び交っていた。ある議員秘書がこう耳打ちする。
「岸田内閣の政務官で自民党安倍派に属する議員の事務所で、女性私設秘書がひっそりとクビになった。その理由が問題なんです。どうも、フーゾク店に勤務していたことがバレてしまったためらしいんですが…」
事実とすれば、政府の機密事項が歓楽街で漏れていた可能性もある。まして議員秘書の裏の顔が「夜のサービス嬢」となると、マスコミが放っておくわけがない。
「案の定、噂を聞きつけた週刊誌が取材に走り、『FRIDAY』が記事にした。永田町では話題になっていますよ」
そう言って先の議員秘書は、スマホの画面をこちらに見せた。そこには選挙ポスターのような画像が映っていた。
「2年前、フーゾク情報サイトが開催した『人気投票』に立候補した、都内デリバリー店勤務のM嬢のポスターなんですよ。このM嬢が…」
この店舗のサイトを確認すると、すでにM嬢は退店したのか、在籍はしていなかった。政治部デスクが同情まじりに言う。
「議員秘書の給与は、ピンからキリまであります。公設秘書ならば、その辺の会社員なんかよりも上ですが、私設秘書ともなれば、年収300万円なんてことも。バイトしたくなるのもわからないでもないですね。そもそも公設と違って、特段の取り決めがなければ、アルバイトはOKでしょう」
M嬢のみならず、コッソリと秘密のアルバイトをしている私設秘書は、他にもいるかもしれない。ならばこの件を耳にして、戦々恐々としているのではないか。職業差別にもつながりかねない、なんとも悲哀漂う「事件」なのである。