今週は3日間開催。秋競馬第2週目のメインとして、日曜日は中京でローズS、月曜日に中山でセントライト記念が行われる。
秋となれば、GI戦が目前に迫ってきている。周知のようにセントライト記念は、牡馬3冠レース最後の決戦となる菊花賞の前哨戦、ローズSは3歳牝馬のそれ、秋華賞の前哨戦で、ともに3着馬まで本番の優先出走権が与えられる。
セントライト記念は、キタサンブラック(15年)のように、ここを勝って菊花賞も、という馬が近年少なくなってきており、来週行われる同じトライアルの神戸新聞杯と比べて、見劣り感があるのは否めない。
しかし今年の顔ぶれは決して悪くない。
ダービーで見せ場たっぷりの3着に頑張ったアスクビクターモアを筆頭として、京成杯勝ちのオニャンコポン、毎日杯の2着馬ベジャール、ラジオNIKKEI賞で2着したショウナンマグマ。
さらには、昨暮れに行われたGIホープフルSの3着馬ラーグルフ、小倉でレコードの圧勝劇を演じて注目されるキタサンブラック産駒のガイアフォースなど、ここで勝ち負けするようなら、本番でも期待されそうな馬ばかり。まさに目が離せないトライアルレースである。
馬券的にもおもしろそうだが、過去の傾向をみると大きく荒れることはない。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、馬単での万馬券は6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は6勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回ある。
ということは、3~4年に一度は大きく荒れるが、その間に一度は本命サイドの堅い決着となっており、まずは順当に収まりやすい重賞とみていいだろう。
ただ今年はどうだろう。前述したように粒ぞろいの一戦。各馬それぞれ素質が高いのであれば、過去のデータどおりになるのかどうか、微妙なところ。要はここまでの臨戦過程や、仕上がり状態のよしあしがポイントになるのではないだろうか。
その意味で最も期待を寄せてみたいのは、ロンギングエーオだ。
前走の開成山特別(1勝クラス)を勝ち上がった段階で、ここに目標を据えて短期放牧。この中間も抜かりなく調教を積まれてきているが、その前走の勝ちっぷりがよかった。
道中はインでじっくり構えて、人気の評判馬グランシエロをゴール前できっちり差し切ったもの。その際、手綱を取った石橋修騎手の感触は上々で「まだよくなる余地は十分。今後が楽しみ」と語っていた。
奥村武調教師も「春先のひ弱さが消えて、ここにきてたくましくなった。なんとか菊花賞の出走権を手にしたい」と、大きな良化ぶりにヤル気をにじませる。
であれば、相手は一気に強くなるが、チャンスがあっていいのではないか。
曾祖母ミュンシーは仏GIサンタラリ賞の勝ち馬で、サトルパワー(米GIガルフストリームパークBCH)など近親、一族に活躍馬が多くいる血筋。
右回りは〈2 0 0 1〉とスムーズで競馬上手。一発があっても不思議はない。
一方のローズSは、ロマンシングブルーが狙いだ。
まだ1勝馬の身だが〈1 4 0 1〉とレースセンスのよさを感じさせる馬。相手なりに走る勝負根性もあり、既成勢力の強敵相手でもやれていい。
休み明けをひと叩きされ、この中間の良化ぶりも目立っている。ここでも差はないはずだ。