中央競馬の上半期の締めとなるのは、もちろん宝塚記念。今年はまさに豪華版の一戦だ。
3歳馬の出走はなく、ソダシ、レイパパレら女傑の顔が見られないのは残念だが、それでも現有の強豪がこぞって出走してくる。
思わぬ大敗を喫した大阪杯9着から捲土重来を期すエフフォーリア、その昨年度の王者に大きな差をつけて大阪杯を制したポタジェを筆頭として、ドバイ遠征でGIをもぎ取ったパンサラッサに、ドバイSC3着のオーソリティ、春の天皇賞で大差勝ちを演じたタイトルホルダー、同2着のディープボンド、さらに三冠牝馬のデアリングタクトなど、見事なまでの顔ぶれ。
伏兵視されている馬も多く、最近にない層の厚さと言っていいだろう。仮に人気どおりの結果になったとしても、馬券的にはおもしろい一戦だ。
実際、ここ何年かを振り返ってみると、波乱の目も少なくない。03年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単による万馬券は、同じファン投票によるグランプリ・有馬記念が3回なのに対して、7回(馬連は3回)もある。
この間、1番人気馬は5勝(2着5回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみで、どうやら人気どおりとはいかないようだ。
19年リスグラシュー、20年、21年クロノジェネシスと、3年連続で牝馬が勝利を収めており、前走のヴィクトリアマイルで6着に敗れたとはいえ、復活を期するデアリングタクトからは目を離せそうにない。
年齢的には4、5歳馬が圧倒している。過去19年で見てみると4歳馬が8勝(2着4回)、5歳馬も8勝(2着9回)と、ほぼこの両世代が連対に絡んでいる。さて、今年はいかに。
豪華な顔ぶれだけに悩むところだが、データに逆らわず4、5歳馬に目をつけるのが筋だろう。
期待したいのは、その生きのいい4歳馬、アリーヴォである。
重賞勝ちは前々走のGIII小倉大賞典の1勝のみ。格的には見劣るが、そのハンデ戦だった小倉大賞典は強烈な末脚を発揮しての快勝劇だった。背負った斤量が昇級初戦だったこともあり54キロで、続く大阪杯はGIの強豪相手に別定の57キロ。これでは太刀打ちできまいと軽く見られていた。
が、結果は勝ったポタジェにコンマ1秒差の3着。これは大きく評価していいのではないだろうか。いきなりGI馬相手に一歩も引かなかったのだから、秘めた能力はかなりのものと取っていいはずだ。
伸び盛りの4歳馬であることを思えば、今回はさらにやれてよく、初めて58キロを背負うが問題はないだろう。実際、前走後は短期放牧でリフレッシュされ、ここを目標にじっくりと調整されてきた。1週前の追い切りも文句なし。
動き、気配のよさに厩舎スタッフは「さらにパワーアップした感じ。前走以上の状態で臨めそう」と、口をそろえて仕上がりのよさを強調するほどだ。
近親、一族に活躍馬が多くいる欧米の一流血脈の出。多少の道悪は問題なく、大きく狙ってみたい。
穴はキングオブコージだ。こちらは6歳馬だが、休養が多く、酷使されてこなかったため肉体年齢は若い。前走の大阪杯は11着と期待を裏切ったが、少し余裕残しの仕上がり(前走比プラス10キロ)で、それがために身上の切れ味が見られなかったまで。
この中間はすこぶる順調だけに、軽視は禁物だ。