自称“全聾(ぜんろう)の作曲家”佐村河内守氏(50)のゴーストライターを務めていた新垣隆氏(43)。騒動後、大学も辞め世間から姿を消していた。消息を追った記者がつかんだのは、極貧すぎる生活ぶりだった。
「聴衆に挨拶する時に、晴れやかな笑顔を見せていました」(イベント関係者)
3月中旬、神奈川県の小学校体育館で開かれた、小さなコンサート。そこでピアノの演奏をしたのは、あの作曲家の新垣氏だ。「佐村河内氏のゴースト」という肩書のほうが有名になってしまったが、演奏会への出演は、2月6日の記者会見以来のことだった。
18年間にわたる偽装の日々を「週刊文春」2月13日号で激白した新垣氏は、記者会見でこう謝罪した。
「佐村河内さんが世間を欺いて曲を発表していると知りながら、指示されるまま曲を作り続けた私は共犯者です」
3月末には20年近く勤めていた桐朋学園大学の非常勤講師を退任し、音さたなしの状態が続いていたが、新垣氏の近況を音楽関係者が打ち明ける。
「非常勤講師の年収は、よくても100万円台。ゴーストライターの副業をすることで何とか音楽だけで食べていけましたが、今はどちらの収入もなくなって生活はかなり苦しいようです」
4月13日には、「Mr.サンデー」(フジテレビ系)で、新垣氏に密着した映像が公開された。インタビュー場所として使われた自宅は、散らかった6畳間の部屋。食事は、コンビニで買ったチャーハン唐揚げ弁当と、孤独な生活ぶりが映し出されたのだ。番組内で、新垣氏は自身の現状をこう答えている。
「皆さんに対して申し訳ないことをした、応援してくださる人がいるので、その人たちに対して少しでも音楽を続けていることを伝えたい」
新垣氏にとって、目下、必要なのは仕事。ひっ迫した状況を、前出の音楽関係者はこう明かす。
「みずから営業をしながらドサ回りしていますが、仕事が月に1~2本入る程度のようです。音楽関係の仕事といっても、町の演奏会や無声映画の伴奏です。ギャラが1本3万円程度の小さな仕事でも引き受けていますね」
極貧と孤独に耐える新垣氏だが、対照的に佐村河内氏は、代理人を通じて“金策”と名誉の回復に奔走している。スポーツ紙記者が語る。
「日本音楽著作権協会(JASRAC)には、103曲が佐村河内さんの“作曲”として登録されていますが、問題発覚で印税は凍結されています」
だが、凍結を解除させるためには、「20曲で700万円前後もらった」という新垣氏の証言を取り下げてもらう必要がある。そうしなければ、実際に佐村河内氏が作曲した楽曲だと認められないからだ。そのため、佐村河内氏の代理人は新垣氏側との協議を希望しているとか。
「地位回復のために、聴覚障害を否定した証言の撤回と、新垣さんが佐村河内守の名義で作曲した作品の著作権を求めています」(前出・スポーツ紙記者)
新垣氏に証言を変える意思はなく、“ケツ別”した男同士のいびつな関係は修復しそうにない。どんなに佐村河内氏が泣きついても、新垣氏の耳には“ゆがんで”聞こえることだろう。