プロ野球序盤を好調に戦っている広島と阪神。しかし、あの宿敵がこのままスンナリと勝たせてくれるハズがない。そういうわけで、今回は広島OBの大野豊氏を招いて「共闘作戦」を謀議。絶対的巨大戦力をブッ潰す秘策とは──。
掛布 広島は今年、23年ぶりの優勝のチャンスがあると思うよ。周囲の期待も大きいだろうね。昨年のCS(阪神との第1ステージ)では、甲子園の左半分が赤く染まった。あのファンの力は大きかったね。
大野 あれだけ甲子園が赤く染まるのは初めてで、ビックリしたよ。本当に昨年のCS進出はチームにとっては大きかった。16年ぶりにAクラスに入って、若い選手が短期決戦の雰囲気を経験できたことが財産になっている。
掛布 昨年の後半から勢いがあるよね。阪神もCSでは一気に飲み込まれてしまった。
大野 今年の順位予想は広島を2位にしたけど、うまくいけば優勝も狙えるという2位。去年までは情で順位予想していたけど、今年は違う。投手陣が1年間もてば可能性はある。
掛布 広島の投手陣は阪神より駒がそろっているよ。飛ぶボールと言われてる中でセ・リーグ唯一の防御率2点台はすごい。
大野 マエケンはもちろんだけど、新人の大瀬良、九里、そして篠田らの若手がしっかりゲームを作っているんだよ。後ろの永川、ミコライオ、一岡も安定しているし、中田もいる。この投手陣の安定感がここまでの好結果の要因だね。
掛布 攻めるほうは、打率は低いけど効率がいいんだよな(チーム打率セ・リーグ6位)。
大野 でも、ホームランの数が多い(セ・リーグ2位)。去年終盤からエルドレッドが打つようになった。ピッチャーがしっかり抑えるから、その分、ホームランで勝てる試合が増えた。
掛布 2年目のキラも日本の配球に慣れてきて、打席の中で落ち着きが出てきたね。そして、やっぱり阪神も広島も、優勝するためには巨人を倒さないといけない。
大野 あれだけの戦力があるんだから、誰が見ても巨人は強い。でも、勝てないチームじゃない。
掛布 阪神も甲子園3連戦(4月11~13日)で巨人を3つ叩いたけど、巨人にはまだ余裕を感じた。阿部を休ませながら2番手捕手のルーキー小林に経験を積ませたりしてね。原監督が144試合を見据えた戦いをしているんだよ。
大野 それでも他のチームは、阿部の状態がよくないうちに勝っておきたいよね。元気になって帰ってくるとチームがガラリと変わって巨人は必ず出てくる。大事なのは、独走させないこと。昨年みたいに31も貯金されるとまず追いつけないよ。優勝ラインを下げないといけない。
掛布 阪神もそこまでの貯金は作れない。巨人と対等に戦っても、他で取りこぼしちゃうからね。
大野 今年の巨人にちゃんと対抗できるのは、広島と阪神だけじゃないかな。この2チームが巨人をガツンと叩いて、極力、走らせない戦いをしていくことが大事だよ。
掛布 中日、ヤクルト、DeNAの3チームも、必ず2勝1敗にまでとは言わないので、せめて巨人戦との3連戦での3連敗だけは避けてほしい。
大野 各チームがエース級をぶつけて、慌てさせる展開にしないとね。