カネ、カネ、カネ! 拝金主義を丸出しに、日本人信者から“献金”名目で巨額を奪い取ってきた旧統一教会。その資金は韓国へ送られ、学校や病院、リゾート施設などに運用されていた。日本では悪徳宗教でも、韓国ではグループ企業を手広く展開する「ミニ財閥」の実態を白日の下に晒す!
ソウル市内から北東へ約60キロ。高速道路を1時間ほど走ったところに、問題の場所がある。現地では「統一教(トンイルッキョ)タウン」と呼ばれている。「統一教」は旧統一教会の韓国での呼び名だ。広大な山間地に、教団施設以外にも病院、学校、飲食店などが点在している。
その1つ「清心平和ワールドセンター」を訪れたのが産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏だ。
「創立者の文鮮明氏が生前最後に参加した合同結婚式が開かれた場所で、収容人員2万人という巨大な屋内スタジアムでした。直前に行われたこけら落としのイベントも豪勢そのもの。統一教タウンには文氏の宮殿まであった」
韓国メディアによれば、旧統一教会の総資産額は2兆ウォン(約1950億円)、主な系列会社は別表に掲示した通り、新聞、食品、医療、リゾート開発など多岐にわたっている。
「統一教に対する庶民のイメージは、日本とはかなり異なります。最も有名なところではKリーグの強豪サッカーチーム『城南一和』のスポンサーである『一和』でしょう。俗に麦コーラと呼ばれる焦がし麦味の飲料水『メッコール』が爆発的にヒットした。さらに、数多くの不動産を保有し、18年平昌五輪でも使用されたスキーリゾート『龍平リゾート』、12年に万博が開催された麗水のマリンリゾート『ジ・オーシャンリゾート』など、現地では手広く展開するビジネスグループとして知られています」(黒田氏)
日本では岸田文雄総理が「関係を断つ」と決別宣言をした悪名高い教団でも、現地ではまったく別の顔を持っていたのだ。
東京新聞の五味洋治編集委員が説明する。
「韓国の統一教は、信者の献金する額が日本の10分の1程度と低額で日本のような悪魔的なイメージは少ない。ほかにも『世界日報』などは、防衛問題に詳しい新聞として現地で知られています。幅広い分野に複数の企業をグループ展開するあたりは小規模の財閥のような形態です。ただ、それぞれの企業が独自に儲かるまでには至っていない。そのためにどうしても日本のお金が必要なのです」
つまり、統一教グループは韓国での献金が望めず、その多くは日本の教団内の“経済部隊”からのジャパンマネーで成金化したのだ。
日本から吸い上げられたカネは韓国内だけでなく対北朝鮮ビジネスにも用いられていたという。
91年、文鮮明氏は電撃的に訪朝し、金日成主席と会談。
「その後、『平和自動車』、平壌の『普通江(ポトンガン)ホテル』などのビジネスにも乗り出しています。反共を主張する文鮮明氏が訪朝したのは、故郷である北朝鮮で、ビジネスを展開するため。一方、金日成主席が反共の文氏を迎え入れたのは巨額のカネが目的。つまり両者にとってウインウインの会談だったわけです」(黒田氏)
一説では、文氏は会談の際、金主席に朝鮮半島の形の金塊を手渡したという。よもや北朝鮮にもジャパンマネーが流れていたとは‥‥。