楽天ナインが来季に向けて、気が気でないシーズン終盤戦を迎えている。
楽天はクライマックス・シリーズ(CS)に出場できるAクラス確保に向け、最後の戦いを繰り広げているが、もし出場となれば、石井一久監督兼GMが続投する可能性が大となるのだ。
長年、パ・リーグを取材してきたスポーツ紙ベテラン遊軍記者が、知られざる背景を解説する。
「東京や関西の新聞では、楽天の記事が大きく報道されることは少ない。あの田中将大でさえ昨季、今季の成績で、扱いは小さくなる一方。だからあまり公になっていないが、三木谷浩史会長兼オーナーのへの忖度が激しいというか、顔色をうかがって現場介入を毎度毎度受け入れる監督への反発がくすぶっている。GMだけならまだしも、監督も兼任しているとなれば、なおさらです。せめて監督ぐらいは他の人で、というのが本音ですよ」
金は出すが口も出す、という三木谷会長兼オーナーの過剰な現場介入は、チーム内や担当記者の間ではつとに有名な話だ。試合前に監督の考えたスターティングメンバーをファックスやメールで送らせ、差し替えを命じることは日常茶飯事だという。時としてチームの内情を把握するために、信頼するマスコミの人間に直接連絡することもある、とも…。
石井監督がGMに専任していた時代は、自身が現場とのクッション役となる側面もあった。だが、GMと監督を兼任する「全権監督」に就任したことで、ナインは戦々恐々の状態に。
「石井監督の意向に異を唱えたり、不満を口にしたりしようものなら、試合に使ってもらえないばかりか、どんなオフが待っているか、分かりませんからね」(スポーツ紙デスク)
ただ、三木谷会長兼オーナーの信頼を得ている石井監督にしても、その立場は盤石ではない。田中将に年俸9億円、浅村栄斗にも年俸5億円と大盤振る舞いしながら、V逸どころかBクラスでは、現場の指揮権を取り上げる可能性が大である。
だが、もしAクラス確保となれば、石井監督が続投の意思を固めている以上、もう1年は現体制でいくことになるだろう。
「それこそ、優勝したくない選手はいない。とはいえ『今季はBクラスで、石井監督がGM専任に戻る。来季以降は指導者経験の豊富な人物にチームを引っ張ってほしい』というのが選手の本音でしょう。シーズンを3位で終え、CSで敗退する…石井監督続投は、選手にとって最悪のシナリオです」(前出・遊軍記者)
かつて野村克也氏、星野仙一氏ら名将で好成績を残してきたチームだけに、再び成績で全てを黙らせる大物監督の就任が望まれるところだ。
(阿部勝彦)