本番まであと1カ月。ブラジルに乗り込むザックJAPAN23人の精鋭が発表される一方で、代表チームの「顔」と守備の要が一触即発、一発レッドカードの大バトルを繰り広げていたことが発覚。強豪を撃破し、世界に日本のサッカーを見せつける──。そんな野望が吹き飛ばされかねない暗雲が垂れこめているのである。
ザックJAPAN=本田圭佑(27)。かつての「日本代表=中田英寿のチーム」のイメージ同様、サポーターが抱く日本代表の「顔」といえば、本田だろう。「ビッグマウス」と言われる本田は、かねてから「W杯で優勝する」と何度も公言する理想主義者。
「その本田は『理想派』グループを形成し、同い年でともにイタリアのミラノで活躍する長友佑都(27)がそれに賛同。本田と長友は月に1度以上のペースでミラノで会い、食事をする間柄です」(スポーツ紙サッカー担当記者)
派閥が一つできれば必然的に、対抗する勢力も生まれる。それが、キャプテンとしてチームをまとめてきた長谷部誠(30)が形成する「現実派」グループだ。メンバーはゴールマウスの番人・川島永嗣(31)のほか、吉田麻也(25)、内田篤人(26)。サッカー担当記者が続ける。
「この派閥が設定する目標は、『前回(南アフリカ大会の成績)超え』『まずは1次リーグ突破』と、まさに現実を見据えたもの。もちろん、本田率いる理想派とはかみ合いません」
そこで本田はメンバーを増強すべく、同じく海外組の香川真司(25)と岡崎慎司(28)を「勧誘」。スポーツライターが明かす。
「あまり自己主張しないおとなしいタイプの香川は、『お前、こっち(の派閥)だよな』と、半ば強引に引きずり込まれた。本田に洗脳され、ほとんど聞き役に回っています。岡崎も『優勝したいよな』と言って口説かれた。実は岡崎は、本田には頭が上がらない。前回の南アフリカ大会のデンマーク戦で、本田のお膳立てでゴールを決めることができたからです。本田が左サイドを突破してシュートを打つかと思ったら、ゴール前にいた岡崎にポンとパス。それが大会直前にレギュラーからサブに降格させられていた岡崎の初得点となりました。本田は岡崎の得点力を買っていて、岡崎にゴールを取らせることがチーム浮上の鍵だと考えていたのです。その感謝から、岡崎は本田の“舎弟”と化した‥‥」
こうして両派閥による日本代表チームの主導権争いが勃発。表向きはやはり、「理想派」を率いる本田の力が勝っているのでは、と思えるのだ。サッカージャーナリストの渡辺達也氏は、
「移動のバスで、本田はいちばん後ろの左サイド、通称『キングシート』と言われる席に座ります」
「キングシート」とはもちろん、キングカズ・三浦知良(47)がかつて日本代表時代に陣取った「指定席」。本田もみずから、チームの王様であることをアピールしているのだろう。さらに日本サッカー協会関係者は、本田が陰の実権者であることを示す、こんなエピソードを明かすのだ。
「代表メンバー選考の過程で、コーチらが本田に相談、質問しています。個別の選手名をあげて『あいつのことはどう思う?』という感じで。98年のW杯フランス大会で、カズの落選に中田英寿氏(37)の意見が反映されたのと同じです。あの時は岡田武史監督(当時)に『いちばん必要なFWは誰だ?』と聞かれた中田氏が『岡野』と答えました」
そしてついに、恐れていた事態が日本代表を襲う。昨年10月の欧州遠征でセルビアとベラルーシにそれぞれ0─2、0─1で連敗したことがきっかけだった。
◆アサヒ芸能5/13発売(5/22号)より