ロシアW杯を2カ月後に控えて、電撃発表されたハリルホジッチ前監督の解任劇。この仰天人事に代表メンバーも大混乱しているのだ。
「今、ハリル解任によって『ザッケローニ体制』から続く『代表選手間の根深い“軋轢”』が一気に表面化しているんですよ」
と語るのは日本代表に近いスポーツマネージメント関係者だ。続けてもらおう。
「ザッケローニが率いた14年ブラジル大会前、チームリーダーの本田圭佑(31)が『自分たちのサッカーをしてワールドカップで優勝する』と言いだし、長友佑都(31)、香川真司(29)ら主力選手たちが“洗脳”されていったのは、周知の事実です。だが、代表選手間では『非現実的だ』『着実に決勝トーナメント進出を狙うべき』といった反発も多かった。しかし、急速に“王様化”する本田に対して、キャプテンの長谷部誠(34)でさえもモノを言えない空気になってしまったんです」
当時、チームの“独裁者”となった本田だったが、唯一反旗を翻したのが、キーパーの川島永嗣(35)だった。結果、ブラジル大会では「1分2敗」の成績で予選敗退の結果になったものの、本田からは川島に対して厳しい言葉が投げかけられたという。
「ブラジル大会での惨敗後、本田が川島も同席した反省会で口にしたというのが『川島がポジティブだったら結果は違った』というもの。半ばジョークの意味合いもあるのかもしれませんが、本田としては少なからず“川島にチームをつぶされた”という思いがあったことは間違いありません。対する川島も『今の圭佑はイカれている』とまで断言していて、一時は『今後、同じチームでプレーするのは不可能じゃないか』とまで言われていた」(マネージメント関係者)
そんな状況を一変させたのが、15年に監督に就任した、他ならぬハリルだった。サッカー関係者の証言。
「監督の威厳を重んじるハリルは、一選手の本田に王様としてふるまうことを絶対に許さなかった。結果、両者の軋轢も目に見えなくなったんです」
一見すると平穏に見えたチーム内でも、両者の対立はあまりにも根深いものがあったとしてこう続ける。
「ハリル体制になってから、本田、川島とも直接言い合うことはせず、もっぱら大手スポーツメーカーの関係者相手に悪口を漏らすようになった。本田は『川島は世界で戦うには志が低い』なんて言っていますし、一方の川島も『圭佑、衰えたんじゃない』と厳しいかぎりの言葉を‥‥」
ハリル解任を受けて西野朗体制となった代表チームだが、ハリルを巡ってシンパとアンチに二分されたチームが、一枚岩になる可能性はほとんどない。
「このままではチーム内で他の選手を巻き込んだ大激突の可能性が高い。宇佐美貴史や清武弘嗣ら、ハリルのお気に入りだった“ハリルチルドレン”にとっては、『ハリルを追い出した主犯』と報じられた本田に対する反発が相当あるでしょう。そうなると川島と結びついて、大会前に“反本田”派閥が急拡大するでしょうね」(サッカー関係者)
本田を代表とする“冷や飯組”の一挙手一投足に注目が集まるばかりだ。