秋の中山・中京開催が、それこそあっという間に終わり、今週から東京・阪神に舞台は移り、本格的な秋開催がスタート。秋のGI戦線を目前に控えた今週は、東西で天皇賞・秋の前哨戦(1着馬に優先出走権が与えられる)がメインとして行われる。
関東のそれは毎日王冠、関西は京都大賞典。両重賞とも注目のレースで、今年もなかなかの好メンバーがそろう豪華版と言っていいだろう。
まずは毎日王冠から。一昨年のGI大阪杯の覇者で、今年もクビ差2着だった女傑レイパパレを筆頭に、そのレイパパレを大阪杯で破ったポタジェ、そして2歳時のGI、朝日杯FS勝ちのサリオス、ホープフルSを制したダノンザキッドとGI馬が4頭出走。その他も重賞で勝ち負けしている馬ばかりだ。
また、開幕週の競馬であり、良馬場ならレコード、もしくはそれに近い速い時計での決着が予想される。出走頭数は少ないものの、どう転ぶか読みづらい一戦である。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は9勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着4回)、1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。言ってみれば、堅い時は堅く、そうでなくても比較的、有力馬サイドで順当に収まることが多い重賞と言えそうだ。
年齢的には7歳以上の古馬の出る幕は少なく、逆に3歳馬からは目が離せない。出走頭数が少ないわりに、過去20年で5勝(2着4回)をあげていることは特筆していいだろう。
あとは生きのいい4歳馬(5勝、2着3回)、充実著しい5歳馬(6勝、2着7回)が他の重賞と同様、よく連に絡んでいる。
ということで、改めて今回の顔ぶれを見てみる。有力勢は甲乙つけがたいが、最も目につくのは、ダノンザキッドである。
前走の関屋記念後、ひと息入ったが、休み明けの馬が多い中、夏場に一度使われたことは強みと言っていい。
前走後は、ここを目標に短期放牧を挟んで、とにかく順調。しっかりと乗り込まれており、抜かりない仕上がりぶりを見せている。
2歳時にGIを制したように、実力のほどは知られており、直線の長い東京コースでは重賞(東スポ杯2歳S)を勝つなど相性もいいい。前走の関屋記念にしても、3着に敗れたとはいえ、湿った悪い馬場が少々影響した感があった。それでも最速の上がり脚で、勝ち馬とコンマ1秒差だったことを思えば「負けてなお強し」と言っていいだろう。
前述したように、この中間は順調で、1週前の追い切りも文句なし。芝1800メートルも〈2 0 0 1〉と得意にしており、走れる条件がそろった今回は、素直にその能力を信頼したい。
一方、阪神競馬場で行われる京都大賞典も、これまた顔ぶれがいい。
ここは、完全復活を期すアリストテレスに期待したい。昨暮れの有馬記念(6着)のあと放牧。5カ月の休養を挟んで今年初戦となった目黒記念は、18頭立ての17着と、いいところがなく完敗を喫してしまった。
改めて放牧で立て直すことになり、今回はそれ以来4カ月半ぶりの実戦になるが、しっかりと調整されていて雰囲気は悪くない。栗東の坂路で稽古を積み、1週前、この中間、初めてWコースで追い切られた時の動きはなかなか。さすがにしまいは脚が上がってしまったが、2頭のパートナーに先着して気を吐いた。
「このひと追いで態勢は整う」とは音無調教師の弁。
もともと仕上がり早で、気のいいタイプ。力を出せる状態とみる。しかも体重が増えて、成長を感じさせるところもある。
昨年、同じ阪神で行われたこの重賞でハナ差2着しているように力量は確か。チャンスありとみた。