ロシアのプーチン大統領が9月21日、国営テレビを通じて演説を行い、「部分的動員」を表明した。対象となるのは予備役で、同日から動員の措置がとられているという。
戦争の長期化によって兵士が不足していることが改めて浮き彫りになったロシアだが、同時に相当な劣勢に立たされていることが判明した格好だ。国際政治ジャーナリストが分析するには、
「プーチン氏は特に軍隊への勤務経験や軍事的な専門性を持っている市民が動員の対象になるとしていますが、兵員不足は明らかで、今後は一般市民が巻き込まれる可能性もあるでしょうね。そもそもロシア兵の士気は必ずしも高いわけではなく、厭戦機運が広がれば軍が機能不全に陥る可能性も孕んでいる。国土を死守するという強い意志を持ち闘っているウクライナ兵とは、まさに雲泥の差といっていいでしょう」
また、ロシアでは徴兵対象者がすぐに前線へ送り込まれることはないとされているが、すでにうやむやにされているという。
「徴集後、本人が入隊契約に署名した場合に限り職業軍人になるはずが、署名を強制され前線に投入されるケースが横行していると聞きます。次の段階は『総動員令』とされていますが、このような状況で国民が戦争継続の意志を示すでしょうか。部分的動員発表の直後から各地で起き始めた抗議デモや国外脱出の動きを見ても結果は明らかで、いざ総動員となれば大パニックになるでしょうね」(政治ジャーナリスト)
欧米諸国は、すでにプーチンの自滅を待つ段階に入っているのかもしれない。
(ケン高田)