不規則な生活、過度なストレス、睡眠不足、運動不足などが原因で「更年期障害」に悩む中年男性が、近年増えてきているという。
「男性更年期障害」は、「加齢性腺機能低下症、LOH症候群」と呼ばれるもので、一般的には、男性ホルモンの低下が顕著に表れる40代での発症が多い。しかし、早い人は20代でも更年期障害の症状が出てくるケースもある。
しかも、閉経前後の数年程度で終わる女性の更年期障害とは異なり、男性の場合は症状が長期間に及ぶ傾向が強い。これは、男性のほうが女性に比べてホルモンの減り方が緩やかで、ストレスの影響を受けやすいことなどが関係している。
「男性更年期障害」の原因は、テストステロンという、男性ホルモンの減少だ。精巣で産生されるテストステロンは、筋肉や骨を形成したり、男性としての機能を保つ働きを持つ。
他にも、テストステロンは「男らしさ」を保つために重要な役割を果たしているので、減少すると、自信を失い、引きこもりがちになるケースもある。
「男性更年期障害」の症状は、筋力低下・筋肉痛、関節痛、体のほてり、頻尿、異常なほどの発汗、性欲の減退、慢性疲労、勃起力の低下などが挙げられる。メンタル面でも、「集中力が続かない」「怒りっぽくなった」などの症状が表れる。
これらの症状のうち、3つ以上該当する場合は「男性更年期障害」の可能性が高いため、泌尿器科の受診をおすすめしたい。より高度な治療を行いたい人は、メンズヘルス外来を設置している医療機関や、「LOH症候群」の専門外来もある。
男性の更年期障害は、正しいケアを行えば、改善する場合も多い。ちょっとした体の不調を、疲れや年齢のせいと軽視せずに、早めに医療機関を訪れて相談するようにしたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。