女性特有の症状と思われてきたが、男性にも起こる「更年期障害」。その違いは発症時期にあるという。
「更年期」とは、性ホルモンが標準より低下した時期を指す。男性の場合は、男性ホルモンのテストステロンの減少が原因となり、性欲低下や体力・運動能力の低下、認知機能の低下、やる気が出ない、ウツ、ED(勃起不全)などを発症する。女性の場合は閉経前後に起き、閉経後には症状も治まることが多いが、男性の場合は、かなり個人差があり、その時期に終わりがない。一般的には40歳以降に発症するが、60歳以降で初めて発症する場合もある。
勃起のメカニズムは血管機能と深い関係があるため、糖尿病や肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化、骨粗しょう症などのリスクにもつながる危険がある。つまり、EDは生活習慣病のサインでもあるのだ。
まず「男性更年期障害」は、EDを治療することが重要だ。医療機関を受診すると、ED治療薬が処方されるので、少々の改善が見られることが多い。また、抗うつ薬や抗不安薬を処方されることがあるほかに、保険診療でテストステロンの筋肉注射を行う場合もある。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬を使用するケースも。
これらの治療に加えて、食事をはじめとした生活習慣の見直しをすることが重要だ。EDを完全に予防・改善できる食べ物や飲み物は存在しないが、牡蠣や鰻、アボカド、すっぽん、高麗人参など性機能を高めると言われる食材を摂取することもお勧めだ。さらに血液をサラサラにするために、魚や海藻類、納豆、キノコ類、ネギ類、お茶などを積極的に摂ることもいい。EDを悪化させる高脂肪、高カロリー、高塩分の食事はなるべく控えたほうがいいだろう。
日常生活の中でストレスや寝不足を上手に解消し、運動も有効である。
「男性更年期障害」の予防・改善方法は健康維持を心掛けるのが近道だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。