テリー 浅井企画にはどういう経緯で入るの?
飯尾 高校を卒業する時にお笑いをやりたかったんですけど、どうすればいいかわからないんですよ。それで最初、劇団に入るんですけど、ピチッとした全身タイツで踊らなきゃいけないレッスンがあって。それがイヤで3カ月ぐらいでやめまして。
テリー へぇ。
飯尾 それで「俺は芸能界に向いてない。公務員になろう」って大学を目指すんですよ。でも、あれって大学のほうから断ってくるんですよね。
テリー アハハハハ、受からなかったってこと?
飯尾 そうですね。そしたら、NTTに勤めていた先輩が(浅井企画のある)五反田のほうを担当してたんですね。昔は看板に事務所の電話番号が書いてあったんで、「カズ、これ欽ちゃんの事務所じゃないか」って電話番号を教えてくれまして。それで1月の祭日にかけちゃったんですよ。
テリー 休日じゃ誰もいないよね。
飯尾 それが、たまたま事務所で作家さんがネタを書いてまして。その人が「明日、専務が来るから電話してみろ」って言ってくれたんですね。それで次の日に電話したら、その専務に「お前、明日ヒマなんだろう。顔見せに11時半に来い」って言われて、事務所に行ったんです。そしたら僕、高校でバレー(ボール)部だったんですけど、あの頃の部活って、先輩からのビンタとかあったじゃないですか。
テリー まぁ、昔はね。
飯尾 うちのバレー部は、例えば3年生に「いいか1年、お前ら声が出てないんだよ」って言われたら、「いいか」のところで返事しなくちゃいけないんですよ。「いいか」「ハイ!」「お前ら」「ハイ!」「声が」「ハイ!」「出てないんだよ」「ハイ!」って、細かく返事しないと「お前ら、聞いてるのか」ってビンタがくるんです。
テリー うわぁ。厳しい部活にいたんだねぇ。
飯尾 だから、その時もスイッチが入っちゃって。「お前、飯尾っていうのか」「ハイ!」「東京の」「ハイ!」「出身で」「ハイ!」って言ってたら、「お前、返事がいいな」って言われまして。その専務がバリバリの体育会系の野球部で、それで入れたんです。
テリー でも、それはさ、専務に何か感じるものがあったんじゃないの?
飯尾 ちょうどルー大柴さんが若手を使って舞台をやりたいという時で。2、3人募集しようとした時に、僕が電話してきたらしいんですね。それで「もう1人、返事がよくて入ったヤツに会わせるから」って、会ったのがウド鈴木でした。
テリー あ、そう(笑)。で、今の「ずん」を組むまで、2つコンビを解散してるんだね。
飯尾 もうバツ2です。最初、小学校からの幼馴染と「チャマーず」というのを組んで1年ぐらいで解散して。その後、すぐ事務所の子と「La.おかき」っていうのを組みまして。ちょっとテレビにも出られるようになったんですけど、5年ぐらいで解散しました。
テリー ウドちゃんとはずっと仲いいでしょう。組もうとは思わなかった?
飯尾 これがテリーさん、1回もそういう話は出なかったですね。2人ともずっとヒマで、お互いの部屋でしょっちゅう飲んでたんですけど、お互いを生かせないと思ったんでしょうね。でも、ウドはやっぱりおもしろかったですよ。
テリー 特別な人だからね。
飯尾 「ウド鈴木のショートコント」って始めるんですけど、延々とやってるんですよ。で、25分ぐらい過ぎて「続きましてパート2」って言ったんです。その頃、天野(ひろゆき)は別のコンビで、僕と舞台袖でスタンバってたんですけど、「こいつ、ショートコントの意味、わかってるのかな」ってゲラゲラ笑ってましたね。