テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」の人気コメンテーターだった玉川徹氏(59)の舌禍事件は、番組降板をせずに取材記者として、その内容をレポートするという「裏ワザ」で乗り切った。水面下では、玉川氏を人気キャスターにすべく極秘プランが進行していたというのだ。
きっかけは9月28日放送回で、安倍晋三元総理の国葬での菅義偉氏の弔辞について、「(広告大手代理店)電通が入っている」と、菅氏の自作であることを否定したばかりか、代理店の関与まで言及。翌日には、自身のコメントを否定。謝罪したものの騒動は鎮火せずに、10月4日になって、テレビ朝日側は、玉川氏を出勤停止10日間の謹慎処分に。「謹慎明け」の10月19日の番組冒頭では、
〈事実誤認のコメントによりご迷惑をおかけした電通および菅(義偉)前首相に対し、改めておわび申し上げます。このような事実に基づかない発言をテレビでしてしまったということ、それは私の慢心とおごりがあったからだと反省いたしました。申し訳ございませんでした〉
と報道局のスタッフルームで頭を下げたのだった。
テレ朝の一介の社員である玉川氏なら、ここで万事休すとなりそうなものだが、番組残留といういわば「温情判決」。その背景には、テレ朝サイドのある「思惑」が働いたというのだ。テレ朝スタッフが語る。
「当初、玉川氏は今回のトラブルに際して、番組降板を申し出たのですが、テレ朝の上層部がモーニングショーが視聴率首位から陥落するのを危惧して早河洋会長をはじめとする上層部が慰留。最終的に折衷案として、かつて前身番組の『スーパーモーニング』ディレクター時代のスタイルで、取材記者として残留することで決着しました」
玉川氏の存在が脚光を浴びたのは、コロナウイルスが日本で流行した2020年4月以降のこと。その歯に衣着せぬ物言いで政府のコロナ政策などを厳しく追及すると、人気がブレイク。今や、テレ朝の社員どころか、毒舌コメンテーターとして、番組には欠かせない存在となっていた。番組OBの話。
「かつて、朝のワイドショー戦争でテレ朝は後塵を拝していた。そこで、日テレの人気アナであった羽鳥慎一氏を2011年に一本釣りして人気を挽回。7年かけて首位に躍り出た経緯がある。あまり知られていませんが、玉川氏がディレクターから、コメンテーターに抜擢されたのも『玉川総研』というコーナーで人気が出たのがきっかけ。実は、局の上層部では、『視聴率首位の陰の立役者』として羽鳥氏と並んで評判も上々なのです」
とはいえ、玉川氏の現在の年齢は59歳。定年までわずか1年余りとあって、その身の処し方もすでに準備が進められていたという。
「定年を機に、玉川氏をメインキャスターに据えた番組を始める予定があったんです。内容的には池上彰さんのような、ニュース解説の番組ですが、玉川氏と親しい長嶋一茂氏や石原良純氏などの辛口のタレントを起用して、『ビートたけしのTVタックル』と『池上彰のニュースそうだったのか!!』を足したような番組だったようです。年輩の女性ファンが多い玉川氏だったので、テレ朝としても勝算ありとにらんでいたようです」(前出・テレ朝スタッフ)
だが、今回の炎上騒ぎで「第2の池上彰」計画は頓挫。今後は茨の道が待ち受けているというのだ。
「玉川氏は剛腕ぶりが災いして、今回のトラブルでは、現場スタッフからも厳しい批判がかなり出ていたそうです。謝罪翌日にはスタジオに生出演。早速、旧統一教会問題について解説していましたが、玉川節は皆無。出演頻度は視聴率次第ばかりか、発言には全て上層部のチェックが。当面は針のムシロ状態での生出演を余儀なくされそうです」(ワイドショースタッフ)
フェードアウトも時間の問題か。