支持率ジリ貧で尻に火がついたのか、岸田内閣は旧統一教会の「解散命令」へと舵を切った。「信教の自由」などを理由に消極的だったが、“本気モード”になったことで慌てふためくのが教団とズブズブの“濃密議員”たち。最大派閥の安倍派、いや自民党をぶっ壊す覚悟で引導を渡せるのか。
「私が責任を持って解決する」
10月17日、岸田文雄総理(65)は世界平和統一家庭連合(以下旧統一教会)に“宣戦布告”した。
「法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事的裁判の例が見られる」とし、永岡桂子文科相(68)に宗教法人法に基づく「質問権」の行使を指示したのだ。
政治部デスクが解説する。
「宗教法人は宗教法人法に違反した場合、裁判所の解散命令により法人格を失い、税制上の優遇を剥奪されます。この際、文科相が裁判所に解散命令を請求するにあたって、宗教法人に対し質問を求めることができる。解散命令の適用は地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教など過去2例あるが、質問権は一度も使われたことがない“抜かずの宝刀”です」
「決断と実行。」をスローガンとする岸田総理がついに教団解散へ踏み込んだかに見えたのだが‥‥。翌日、立憲民主党・長妻昭元厚労相から「刑事だけでなく民法の不法行為を含めないと解散請求にたどり着けない」と本気度を問われると、「民法は入らない」と一転して後退する発言。しかし、翌19日には「考え方を整理した」とし、「民事の不法行為も入りうる」と法解釈を一転させ、方針転換したのだ。
「発言が極端に迷走したのは、岸田総理がそれほど宗教法人法に精通していないことが大きい。そもそも岸田総理の指令で旧統一教会対策という火中の栗を拾っていたのは河野太郎消費者担当相(59)。河野氏が主導する検討会議では、法務省などの電話窓口に1700件を超える被害相談が寄せられたことで、解散命令請求を見据えた質問権行使の提言を予定していた。一方、国葬後も岸田内閣の支持率は下げ止まらず、打開策を求めていた。そこで、渡りに船と河野氏の手柄を取り上げ、『統一教会と何ら関係ない俺が解散させる』と自らが指揮する決意を固めたのです」(政治部デスク)
しかし、その岸田総理のヤル気に反し、予算委員会では寺田稔総務相(64)、秋葉賢也復興相(60)に事務所費の不祥事が発覚し、国会は防戦一方。さらに、旧統一教会の海外イベントに何度も参加しながら「記憶にない」とスッとぼけ発言で炎上中の山際大志郎経済再生相(54)は、野党から再三「更迭」を求められる始末だ。
官邸キャップが打ち明ける。
「党内からも“瀬戸際大臣”と嘲笑されるなど崖っぷちであることは間違いないが、仮に更迭すれば辞任ドミノの恐れもある。そのため政府は、いくら叩かれても『記憶にない』で開き直る鋼のメンタルに頼りっきり。本人は叩かれ役のサンドバッグに徹することで、岸田内閣を守ると自負している。18日の答弁では自ら『これから新しい事実が出てくる可能性がある』と予言したが、今後さらに教団との蜜月関係が噴出しても大臣の座にしがみつくつもりのようです」
記憶力の乏しい鉄面皮の大臣に「引き際」を教える党員はいないものか‥‥。
ジャーナリストの鈴木エイト氏は岸田総理のお手並み拝見といった構えだ。
「答弁が一日でコロッと変わるなど不安定なところはあるが、問題解決としてはいい方向に進んでいる気がします。『岸田総理にとっては小さな一歩だが、カルト教団対策には大きな一歩』という結果になることを期待しています」
瓢箪から出た駒でも、果たして解散命令までこぎつけるのだろうか。